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 新年会シーズンもたけなわ。飲み物のお品書きに“ハイボール”というメニューが目立ち始めたことにお気づきだろうか。このところ、居酒屋やレストランで、ウイスキーをソーダ(炭酸)で割ったハイボールを提供する店が増えている。

 仕掛けたのはサントリー。1年余り前からウイスキー「角瓶」をソーダで割った「角ハイボール」を全国の飲食店に対してアピールして回った。その結果、 2008年9月時点で6200店だった取扱店舗数は、2009年11月時点では5万8000店と、約9倍近い伸びを見せた。それに伴い、角瓶の売り上げも伸長。2009年1月から11月で前年同期比24%増を記録。角瓶に牽引されるように、ウイスキー市場全体も伸びている。同期間、市場は同9%増で推移している。約25年にわたって縮小を続けていたウイスキー市場にとって、久々の明るい話題となった。

1軒目からウイスキーを

「角ハイボール」の黄色いラベルが店頭では目立つ(上)。「世界のハイボール」はパッケージに“航海”をイメージ。世界中から酒を発掘する意気込みだ

 「ウイスキーをどうにか1軒目で飲んでもらうことはできないかと考えた」。同社スピリッツ事業部ウイスキー部の田中嗣浩課長は狙いを語る。これまで、ウイスキーはバーやスナックなどの2軒目にはしごした先で飲むものという認識が一般的だった。しかし、会社、個人ともに懐具合が冷え込んでいる今日この頃、はしご酒をするお客は減る一方だ。

 「1軒目で食事をしながら、仲間と飲んでもらいたい」。この思いにピタリとはまる飲み方がハイボールだった。ウイスキーをソーダで割れば飲みやすくなり、食事にも合う。ビールでは重すぎる、チューハイでは甘すぎる。そんな人にとってハイボールは食事に合う新しい飲み物として定着した。

 ハイボール人気を押し上げたのは、それだけではない。“懐に優しい”ことも人気の秘訣だ。多くの店舗ではハイボールは生ビールの中ジョッキよりも100円程度安い。

 さらにウイスキーの瓶を家庭で購入すれば、手頃な価格で楽しめる。角瓶1本で23杯分のハイボールを作ることができる。角瓶は1本1200円程度で販売しているので、1杯約50円。ソーダ分を追加しても100円に満たない。缶ビール1本分よりもお手頃だ。

家飲み需要を開拓

 家庭で楽しめる新しい飲み物として、ハイボールを定着させようと力を注ぐのがキリンビールだ。

 キリンではこの2月に、「世界のハイボール」という缶アルコール飲料を発売する。家庭でもソーダで割るといった手間がかからない。

 「チューハイでもレモンやグレープフルーツなどすっきりした味わいがより好まれている。“甘くない”味覚に対する要望に応えて開発した」とキリンビール営業本部マーケティング部商品開発研究所の大野知法氏は言う。

 今回発売するのは米国ケンタッキー州産のウイスキーを使用した、「樽熟ウイスキーソーダ」とスペイン・アンダルシア地方で熟成されたシェリーを使った「樽熟シェリーソーダ」。今後も世界中から特徴ある酒を見つけ出し、ハイボールにして商品にする考えだ。

 バブル景気の頃までは、接待の必需品だったウイスキー。ソーダの小さなバブルのおかげで、懐に優しく、家庭でも気軽に楽しめる酒として復権しつつある。