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 政府のデフレ宣言から早2カ月。国内に鬱積した停滞ムードは消費低迷に拍車をかけ、年末年始のレジャーは「安・近 短」傾向が一層強まる結果となった。ところが、そんな縮み志向の消費にあって、ある世代だけは別の様相を呈している。

世界遺産ツアーに殺到

 50代後半~60代前半を中核とした団塊世代、いわゆるアクティブシニアと呼ばれる層だ。30年以上に及ぶ会社員生活の一線を退いた彼らのレジャー消費、とりわけ旅行に対するこだわりは強く、「高・遠・長」とも言える贅沢な旅行が賑いを見せている。

 「月に数回開催するセミナーは、連日満員。その多くは、50~60代」と、近畿日本ツーリスト・東日本海外仕入ホリデイ事業部の田中俊哉課長は言う。南米ペルーの世界遺産巡り、アラスカのオーロラ観賞、南極クルーズ…。セミナーの企画は、一般的な欧米ツアーとは随分と嗜好が異なる。最低でも9日間の滞在期間を必要とし、費用は1人40万円以上。決して安くはないが、セミナーはシニアで毎回盛況といい、近畿日本ツーリストの同種のツアー売り上げは、一昨年に比べて2倍以上伸びている。

 海外ツアーを専門に企画するJTBグランドツアー&サービスでも傾向は同じだ。同社の企画するツアーの中でも、「南米やトルコなど、まとまった時間とお金が必要なツアーほど、シニア層が目立つ」と担当者は言う。

 シニアの旅行が活況の背景には、やはり円高の追い風が大きい。一時よりも円安に振れたとはいえ、ドルやユーロなど世界15の主要通貨に対する円の価値を示す2009年12月時点の実質実効為替レート(1973年3月=100とする)は117.3と、依然として円高水準が続いている。

 世界経済危機の影響も、まとまった金融資産を保有するシニア層にはさほど影響はなかったようで、「ハワイなどの定番ツアーは景気の影響を受けやすいが、南米などのツアーはほとんど関係ない」と近畿日本ツーリストの田中課長は言う。

 それらに加えて、今のシニア層特有のこだわりも、遠方旅行へと向かわせている。「お客の多くは、欧米には一度は行った経験がある。これまでに行ったことのない所に行ってみたい、という欲求が強い」と田中課長は言う。

旅のプロセスも贅沢に

 さらに、彼らは旅のプロセスも重視する。増えているのが、飛行機のビジネスクラスを使ったプランだ。近畿日本ツーリストやJTBでもビジネスクラスを利用するプランを用意しているが、売れ行きは堅調といい、「せっかくなら、ゆとりのあるビジネスクラスでくつろぎたい」と考える層は今後さらに増えると見る。これらのツアーは、夫婦2人の場合で総額150万円近くに上るが、「お客は着実に増えている」と近畿日本ツーリストの担当者は言う。

 消費の主役不在の中では、金融資産を比較的多く保有するアクティブシニアが頼みの綱――。長らく指摘されてきたこの構図、今年もクローズアップされるかもしれない。