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 「Suica(スイカ)」や「PASMO(パスモ)」など、公共交通機関で利用できる交通ICカードで割引を受けられる駐車場が徐々に増えている。

 このサービスの普及を進めるのはコインパーキング「タイムズ」を展開する国内最大手のパーク24だ。「交通ICパーク&ライド」として、2008年4月の東武鉄道幸手駅(埼玉県幸手市)を皮切りに、東日本旅客鉄道(JR東日本)など全国の鉄道会社と提携し、各地に導入している。JR東日本の中央線を例に挙げると、立川や吉祥寺といった繁華街に向かう利用者を想定し、三鷹や国分寺などのタイムズでこのサービスを始めた。繁華街の手前でクルマを駐車し、1駅電車を利用すれば、大渋滞に巻き込まれない。セールスポイントはこれだけでない。

一律に200円から300円割引

 面倒な手続きは不要だ。通常のコインパーキングと同じように出庫の時に精算するだけだ。精算機に交通ICカードをかざせば、利用日と最終下車駅の情報を確かめ、サービスに対応する駅で降りていれば、利用金額にかかわらず200~300円程度の割引を受けられる。郊外では丸1日利用しても600円といった駐車場もあり、そうした場所で200円が割り引かれれば、値引き率は3割を超える。現在、利用件数は12万件を超え、導入した駐車場では増収効果が見られるという。

 そもそもパーク&ライドは、交通渋滞の緩和などを目的に提唱されてきた。クルマで最寄り駅まで移動し、そこからは鉄道などの公共交通機関を使おうという考え方だ。都市中心部の渋滞を緩和し、二酸化炭素の排出量も減らせると、各自治体が勧めてきた。

 利用者にとっても、渋滞を避けられるなどのメリットはあるが、経済的メリットは乏しかった。パーク24も以前から取り組んでいたが、事前登録などが必要なことから、普及しなかった。

 転機になったのが、Suicaに代表される交通ICカードの普及だ。降車駅の情報を交通ICカードで確かめられれば、利用者の手間がなくなるからだ。

 当初、パーク24が鉄道会社に降車駅の情報を読み取らせてほしいと持ちかけた際には、消極的な態度を見せるところが多かった。鉄道会社が気にしていたのが、駅員の負担が増えることだ。駅員にとって、「割引が適用されない」といった駐車場でのトラブルを持ち込まれても対応のしようがないが、割引サービスで提携している以上、利用者からはそうは見られない。

 パーク24では、そういった問い合わせに24時間対応できる窓口を設置し、鉄道会社の不安を取り除いていった。こうした努力で、最初に東武鉄道との提携に漕ぎ着けた。

 実績を積み、信頼関係を築いた後は着実に提携先を広げている。現在は、北海道から九州まで9鉄道会社の50駅で利用できる。パーク24技術開発室長の岩渕泰治氏は「2~3年で300の駐車場に導入したい」と意気込む。

電子決済でトラブル減らす効果も

 交通ICパーク&ライドには、新規顧客を増やす以外にもメリットがある。それは電子決済の割合が高まることだ。出庫する時に小銭を出し入れする手間はもちろん、おつりが出ないといったトラブルが起きなくなる。「(物理的な機構がない)電子決済では、そうしたトラブルはまず起きない」(岩渕氏)という。

 目的地を目の前にして渋滞で足止め。そんな車中でのイライラを考えれば、1駅手前から電車を利用してみるのもいいかもしれない。