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 クライアントは、「自分の企業や商品を、こんなイメージで伝えたい」という企画オリエンテーションを行います。「この内容で広告を作るとしたら、どんな提案ができますか」と、複数社の広告代理店にコンペティション形式で依頼します。

 これを受けて広告代理店は、さらに、デザイン事務所に企画を出させます。デザイン事務所には「こうできる」という企画書を出させるのです。これを元に広告代理店は、「こうあるべき」という企画書プレゼンテーションを作って、クライアントに提案します。

 複数の広告代理店が企画書プレゼンテーションを実施し、クライアントが1社に決定します。この企画書の競合コンペティションで勝ってはじめて、広告制作を請け負うことができます。

 広告を請け負ったら、広告代理店とデザイン事務所がチームとして広告制作に入ります。これが広告デザイン業界の構造です。上から、仕事の発注者と、受注者、さらに受注者と階層になって仕事が行われます。

 この構造には、もう一つ秘密が隠されています。この仕事の上下関係はそのまま睡眠時間の差を生みます。

 クライアントは広告代理店に「3日後までに提出」と言い、広告代理店はデザイン事務所に「明日までに提出」と言い,デザイン事務所は徹夜で明日までに仕上げるのです。下へいくほど睡眠不足、ストレスと付き合い、タフな体が求められます。

 「自分がやりたい仕事」が出来るのは一番上、つまり発注者だけです。どうしても下にいけば、発注者の意向に沿ったものを作ることが使命になります。

 「個人事務所でもいいんですか」という冒頭の質問の意図は、この階層構造を理解していますか、という質問なのです。