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「第一志望のゼミに入れなくて。だからやる気がおきないんです」

 そう嘆き落ち込んでやってきたのは理工系大学の3年生Yさん。Yさんが入りたかったゼミナール(研究室)は人気が高く、定員を超えたため、希望者の成績順でゼミ生を決定したんだそうです。そのためYさんは第一志望ではないゼミに回されてしまいました。

「ゼミが定員制ってなんだよ。配属されたゼミは面白そうな研究じゃないし。そもそもゼミが成績順で決まるなんて聞いた覚えがないよ。聞いていたらもっと1年の時の基礎科目とか頑張ってたっつーの」

と自分の成績が悪かったことはさらりと棚に上げ、すっかりふてくされています。

 ゼミが成績順で決まることは、大学1年生の時のガイダンスでちゃんと告知されています。第一志望のゼミに入るために頑張ったって言う同級生もいますから、Yさんも1年生の時に聞いているはずです。でも、大学で初めて経験した挫折から心を守るために、防衛機制を働かせ、一生懸命に他責や反動を形成しようとしているのです。

 Yさんのレセプター(聞く耳)が開くまで、もう少しインタビューを続けます。

「そうかぁ、1,2年の成績よくなかったんだ? なんで?」
「いや、数学とか、化学とか苦手だし。だって、俺、大学受験だって生物と地学で来ちゃったから」

「生物と地学で受けられる理工系大学が今の大学だったってことか」
「うん、授業は割とちゃんと出ていたから、単位は取れてるけど。配属された研究室は、実験に出てくる用語がいまいち分からなくて。正直、先生や先輩が話してる話についていけないんだ・・・」

 「やる気」という言葉では済まされないような複雑なものが絡み合っていることが分かりました。研究室選び、基礎科目履修、リメディアル教育、単位と知識、大学受験科目、大学選びまで、さかのぼり、あらゆる“諸事情”による選択の結果が「第一志望のゼミに入れない」という事実の裏に隠れていました。

 とはいえ、今のYさんに説教して過去の反省を促しても、このふてくされはどうにもなりません。気持ちを前向きにして、志望していなかったゼミでの研究に向き合わなければなりません。Yさんの表情がキラキラできるように未来を見せることができるでしょうか。

職へのルートを考える

「卒業後の進路はどうするの? どんなイメージ?」
「いや、大学院に行くかどうか・・・も決めていません」

「進学の話じゃなくて、自動車メーカーに入りたいとか、電子部品メーカーに入りたい会社とか、入りたい会社があるとか?」
「いや、ぜんぜん、そんなのまだ決めてないです」