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 中途半端だと思います。最年長アルバイトとしてシフト管理する立場なのに、自分のシフトだけ減らせる?就職活動の費用は親が出すって言ってくれているんだし。アルバイトをやめる選択をしなくちゃならない時期に来ているんじゃない?

「アルバイト辞められたら、確かに時間はできます・・・そうしたら資格とか勉強できますよね。でも店長からは、いっつも、頼りにしているからな、期待しているぞって言われていて。自分がいないと、店は回らない。」

 本当に辞められないかどうか、今から電話してみよう。何かあったら、私がかわって話をします。大丈夫だから。

 Iさんは、携帯電話を取り出しました。

「あ、もしもし、オツカレサマです。店長ですか、はい、
あの、すみません、店長、今月でバイト辞めさせて欲しいんですけど・・・」

 そういうと、店長は、

「あっそう。りょうかーい。じゃ」

といって、電話を切りました。店長にとって、所詮アルバイトはアルバイトでした。Iさんは頼られていると無理して頑張ってきたのに、という思いと、こんなにも簡単に辞められたという意外性で、呆然としていました。

 就職活動が不安という学生は、就職活動の準備をやりたくないがゆえに、優先順位が狂ってしまうのです。Iさんが不安になっていた原因は、やるべきことに優先順位をつけて、断ったり、捨てたりする勇気が持てないことだったのです。

生活時間の改善

 就活を前にアルバイトを辞める決断をしたIさんが、朝起きて夜寝る生活に変えて半年がたちました。毎朝7時30分に起きられるように、枕元に炊飯ジャーをセットして寝るようにしました。御飯のにおいと音で目覚めて朝食をしっかりとって大学へ。

 1限がある日もない日も同じ時間に大学にいき、1限がない日はTOEICの勉強を日課にしました。初めて受けたTOEICは325点、500点超えをしたいという目標もできました。ボランティアやインターンシップにも挑戦し、履歴書やエントリーシートにバランスよく対応できそうなネタも少しずつ増えてきました。本来の「学ぶ大学生活」を取り戻したIさんの表情は、「不安」から「期待」に変わりつつあります。

(コラムで提示している学生の事例は、就職塾向日葵が指導したものであり、処方は、個人の状況などによって異なり、すべての人に当てはまるとは限りません)