そしてもう一つ、料理研究家に必要なことは知り合いに振舞った料理が圧倒的においしいこと。タレントの奥さんで、あまりにも彼女が作る料理が美味しいので、週3回も遊びに行くんだと、映画監督がべた褒めしていた方が、料理本を出したでしょう。あの人がつくる料理が美味しいのよ~と、評判になっていくことが、料理研究家として生計を立てる挑戦の第一歩です。
さぁ、Nさん、まずは一人暮らしで料理の腕を磨こう。最初は、レシピを見て、レシピ通りにつくってください。アレンジはせず、同じ調味料を同じ分量で作るのです。1冊つくれたら、アレンジ料理に挑戦してください。毎日、学校にいく弁当を作るのも悪くないです。流行りのキャラ弁でもいいね。それをブログにして毎日更新してみんなに披露しよう。そうだ、帰省のたびに美味しい料理をつくったら家族は驚くぞう。あとそれから、学校祭の飲食店を出す有志を募ってもいいね。今年出店して、4年間毎年出店して、口コミで行列のできる店になるかも。この大学祭の伝説の味になったら、Nさんのファンができて大学グルメとかで出版オファーがくるかも。
今の環境でも、料理に対する情熱があれば、趣味・特技として料理を極める方法がこんなにあります。本当のところ、今まであまり料理をしていないNさんですから、レシピ本通りに料理をつくる段階で、何かしらの“気づき”があるのではないか、という気もします。料理専門学校に行くことを反対した親を恨むことに時間を使うより、今の環境でどうしたら料理研究家に近づくことができるかを考えさせたいと考えました。
人間はどこで学ぶかではなく、何を学ぶかなのです。
Nさんはニコニコした顔で聞いて帰っていきました。
あれから3年。学校祭伝説の店は未だ現れていません。
(コラムで提示している学生の事例は、就職塾向日葵が指導したものであり、処方は、個人の状況などによって異なり、すべての人に当てはまるとは限りません)