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 アメリカのカリフォルニア州デイビスという街で、カリフォルニア大学(UC)の教壇に立っていらっしゃる先生の協力を得て、小規模な業界研究セミナーを単独開催した時のことです。業界研究セミナーといっても、メインは、自社の紹介です。堅苦しくならないよう、セミナー終了時には、懇談会を設け、大きなピザや、炭酸ジュースも用意して、ちょっとしたパーティのような雰囲気で行いました。ピザにつられたのか、近隣地域の大学に通う日本人学生が、学年問わず40人集まってくれました。

ピザが冷えた夜

 業界説明で、英語ができる人材の必要性を力説しても、なんだかみんなの表情が冴えません。「みんなが知りたいのは何ですか?」と質問を投げかけると、一人の学生が答えてくれました。「私は何に向いているのか分からないからどうすればいいかも分かりません」。その言葉に、他の学生たちも大きくうなずき、すがるような視線をこちらに向けてきます。

 急遽予定を変更し、当方の採用スタッフ3人とUCの先生合わせて4人で個人面談コーナーを開設することにしました。そこで、普段は強気で自己主張をするイメージの日本人留学生の、本音の悩みを延々と、それこそピザがすっかり冷え切ってしまうまで聞くことになりました。最後に座ったのがI さんでした。

 「日本の大学受験を失敗しちゃって・・・
  英語が出来たら、かっこいいかなって軽いのりで来ちゃったし・・・
  日本人と一緒にいるから、毎日日本語しかしゃべらないし・・・
  英語、まじ、しゃべれないんです・・・」

 「そんなことないよ。異国の地で、正規留学って大変だもん。頑張っているじゃん」と褒めて持ち上げても「オレ、能力ねぇし。どうせ頑張ってねぇし・・」とすっかりいじけて、すねてしまっています。その会話を見かねて“お父さん世代”のスタッフが登場しました。

 「そうか! 英語ができないんか! それじゃ難しいよなぁ。
  お前、もう日本に帰った方がいいんじゃない」

 へ? I さんもびっくり。いやいや。そこまで言わなくても。

 「本人だって能力ないって言っているじゃないか。よし、日本の親に電話しよう。
  アメリカまで留学させてもらったけど、英語はできないし、成績も良くないから、
  これから帰りますって。電話しよう。な。」