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漫画家を目指す

Sさんと初めて出会ったのは、卒業を控えた12月のことでした。

「漫画家になりたいんです」

というSさんは、大きな瞳を伏せるようにして占い師のように話す独特の雰囲気がありました。デザイン学科の中でも建築デザインを専攻し、年に数回同人誌の発行もしていました。

漫画家になるには、HPや同人誌で作品を発表して市場実績を積み、これらの市場実績を踏まえて、出版社に原稿を持ち込みます。それが認められると、単発読み切りの仕事がきます。単発読み切り漫画から、連載へと少しずつ仕事が増えていきます。また、有名な漫画家の先生の元でアシスタントとして、半ば住み込みように漫画を描いて、独立を目指す、という方法があります。

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Sさんは、持ち込みでも、住み込みではなく、投稿して賞を取って、先生になりたいのだと宣言しました。確かに、この方法なら大賞をとった瞬間に、「先生」と呼ばれ、雑誌掲載が約束されています。基本的に、漫画家も個人で仕事をしますから個人事業主として登録し、スタッフを使えるまで大きくなったら、法人として会社登録をします。この方法で漫画家になり、現在、スタッフを抱えるほどの売れっ子漫画家をしている方は多いのです。

夢と仕事のバランス

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Sさんのように、学びが専門的でありながらも、直接職業に結びつかない場合、夢と仕事のバランスを考えることから就職活動を始めなければなりません。

好きなこと、得意なこと、例えばデザイン、家、イラスト、漫画、ものづくりなど、これを仕事にするパターンです。仕事も趣味も生活の基盤も同じ、例えるなら一輪車です。これに乗ることを目指し、デザイナー業界、建築、車、家電、インテリア、エクステリア、広告など様々な業界のデザイン職にトライしなければなりません。例えるなら一輪車。乗るのも、乗りこなすのも難しいです。

そしてもう一つは、仕事は生活の基盤として割り切るパラーンです。好きなこと、得意なことは、趣味として好きなだけ長い時間をかけて築き上げ極めて行く、という考え方です。学びを直接社会で活かすのではなく、アルバイト経験を活かして事務・販売・企画職に挑戦してみてもよいわけです。これが二輪の自転車です。