技術経営戦略考
目次
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人をダメにするための技術
先般ベルリンで開催された陸上競技の世界選手権大会は、ウサイン・ボルト選手の独演会でした。超絶としか言いようのない大記録の連発、昨夏の北京五輪に続いてのパフォーマンスの再演に、関係者は心底から度肝を抜かれました。間違いなく短距離の歴史上、最も偉大な選手と呼んで良いでしょう。ややマニアックなコメントにな…
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ばか者オンパレード
海外に滞在してはいるものの、私はれっきとしたアメリカ人です。でも、そんな自分の国のことが、最近よく分からなくなってきました。「スーパーパワー」とか呼ばれている国ですが、何とも情けない。いったいいつからこんなに知性のないバカ者集団になってしまったのでしょうか。
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政権交代で「イノベーション」はどうなる?
この数カ月の間に、経団連、経済産業省、そして政党(選挙用マニフェスト)がイノベーション政策を打ち出してきた。反省を含め、今回はそれらを解きほぐしてみていきたい。
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産業界の将来像がみえないマニフェスト
先日、家電メーカートップの方とお話をさせていただいたのですが、その方は、自社が巨額の赤字を出していることはもちろん問題だが「大企業の赤字より、大企業を支えてくれている中小企業が、この不景気でなくなることの方が日本の産業として大きな問題かもしれない」とおっしゃっていました。実に印象深い言葉でした。
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高架鉄道に水着の美女
今回は「オフ」ネタです。まだ夏季休暇を楽しんでおられない方には申しわけありません。当方は一足早いお休みをいただき、のんびりとバルト3国を旅している真最中。いま滞在しているのは、人口2500人というバルト海近くの絵はがきにあるような村、シュヴェクスナです。
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勝負パンツと科学
通勤電車に揺られながら、ぼんやり吊り広告を眺めていて、ちょっと気になるコピーに出会いました。「勝負ケータイ」。商品の冠言葉として「勝負」を名乗っています。そうか、勝負ときたか・・・。ここ一番という時に「頼りになるヤツ」風なメッセージなのでしょう。
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電気自動車を作るのは誰か
前回は、Liイオン2次電池電気の進化によって電気自動車の未来が大きく開けつつあることを述べた。『未来予測レポート 自動車産業2009-2025』ではそれを前提に、例えば「三輪車」(トライクル)が電気自動車の標準形になる可能性について言及している。タイヤが4つあると、どうしてもエンジン車のイメージを引…
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バブルがはじけてよかったこと
私は現在も、ワシントンDCにあるアメリカ工学教育協会の雑誌に記事の連載を続けています。話題は、技術のことにとどまらず、業界や教育現場にも及びます。技術音痴の私にとって、これは決して楽な仕事ではありませんが、この依頼のために多くの大学を訪ね、工学部教授の方々に長年取材をさせていただきました。そのおかげ…
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電気自動車に足りないもの
前回、現在の大不況は構造変化に起因するものであるから、短期に回復することはないとの見通しについて解説させていただいた。このことは多くの産業に重大な影響を与えるが、自動車産業に絞ってみれば、これとは別の構造変化が追い被さるように進行している。
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米国がビッグ3救済で犯した致命的ミス
自動車業界では、にわかに信じ難いような出来事が今も続いている。長年君臨を続けてきたビッグ3は、今や米連邦破産法11条(Chapter 11)の適用が避けられない状況まで追い込まれている。2年連続で2兆円を超える営業利益を計上してきたトヨタ自動車も、2009年3月期の決算で、一転5000億円もの営業赤…
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日本を捨てる製造業
財務省が4月22日発表した「2008年度の貿易統計速報(通関ベース)」によるとわが国は「輸出国」でなく、「輸入国」になりました。輸出額が輸入額より7253億円も小さくなってしまったのです。これは第2次石油危機直後の1980年度以来28年ぶりの貿易赤字となります(輸出額は71兆1435億円、前年度比1…
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レコメンドの行き着く先
パンデミック騒動に振り回されたこの大型連休でしたが、読者の皆さんはリフレッシュされましたでしょうか?せっかくの海外旅行なのに、帰りの機内では善男善女が防疫マスク姿というのは、何とも世紀末的な風景ではあります。
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【宇宙戦略(4)】長期計画一つ作製できない事情
この4月3日に宇宙開発戦略本部 宇宙開発戦略専門調査会が開催されて「宇宙基本計画の骨子」が議論されました。あまり新聞などにはあまり載りませんでしたが、宇宙基本計画は昨年策定された宇宙基本法第24条に基づき策定されるもので、「10年程度を見通した5年間の政府の施策を総合的かつ一体的に推進する計画」とい…
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終わりと始まり
先日、早朝の東北新幹線に乗ってミサイル騒動真最中の東京から逃げ出し、桜前線がまだ到着していない仙台に行ってまいりました。かの地は空気が澄んでいるし、大都会の芋を洗うような人口密度もありません。本来であれば豊かな環境に身を委ね、落ち着いた時間を楽しむことが出来るはずなのですが、今回はあいにくバカンス…
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回遊的人間になる3つの方法
技術の「目利き力」とは何か (8)
いよいよ最終回である。技術の「目利き力」とは何か、という難題を投げかけて得られた私なりの回答を、まずまとめておこう。まず、技術イノベーションにかかわる知的営みを表現する空間として、図8に示す3次元空間を考える。そして、この3次元空間の中でイノベーション・ダイヤグラムを描くことにする。すると、技術の…
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産業モノカルチャーの恐怖
貿易収支は「輸出」から「輸入」を引いて額で、それが赤字というのは「輸出額を輸入額が超えている」状態を指す。昨年8月、わが国は26年ぶりの貿易赤字(統計的に赤字になる1月を除く)となった。このときは原油や原材料、穀物などの高騰によって過去最高の輸入高を記録する状況となり、このことが赤字転落の大きな要因…
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目利き力の本質は「回遊」にある
技術の「目利き力」とは何か(7)
前回の第6話でブレークスルーのイノベーション理論を展開した。ここでは「有機半導体トランジスタによる事業創造」を例にしながら、ゴール設定した技術と既存技術との乖離を正しく評価して「パラダイム持続型」で行けるか、「パラダイム破壊型」を取らねばならないかを見究めることを論じた。そしてこれを、技術の「目利き…
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ブレークスルーのイノベーション理論
技術の「目利き力」とは何か (6)
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技術の「スジ」と事業化の「スジ」
技術の「目利き力」とは何か (5)
本連載第4話を脱稿しTech-Onの編集部に送ったのが、2月8日日曜日。そして偶然の一致であろうか、A社はその翌日、「電子書籍リーダーのコンテンツ配信について、英国Financial Timesや米国USA TODAYなどとコンテンツ提携契約を結ぶ」と記者発表した。彼らは、2009年後半に、USレタ…
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今こそ「緑の国債」を
今、政府が日本版グリーンニューディールを検討しています。アメリカのグリーンニューディールは正式な発表ではないですが、10年間で150億ドルを環境エネルギー分野に投資し、500万人の雇用を生むというものですが、わが国のグリーンニューディールはあまり具体化されていません。予算の裏づけが全くできないからで…