技術経営戦略考
目次
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「サスティナビリティ」が決める未来(その3)---お金では買えない「ものの時代」へ
前回は、レアメタル(希少資源)を取り上げ、資源が枯渇するという以前に世界で「囲い込み」が始まり、少なくとも需要を100%満たす供給は難しくなるという見通しについて解説しました。どんなに優れた技術や設備があっても、原材料がなければどうすることもできません。これから資源の熾烈な争奪戦が始まるのは避けられ…
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「サスティナビリティ」が決める未来(その2)---「もの」がなくなる「ものづくり」
前回は、新興国(主に中国とインド)の爆発的な人口増加と経済成長によって、これから「あらゆるものが足りなくなる」という見通しについて解説しました。世界人口の4割を占める中国とインドで需要が激増し、エネルギーや資源、食料、水などの「需給逼迫」という問題が顕在化するだろうと筆者は予見しています。
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「サスティナビリティ」が決める未来(その1)---「中国」がもう一つできる日
世の中は今、「歴史的な転換点」を迎えていると筆者は確信しています。これまでのやり方では限界が見えた以上、それらを捨て、まったく新しいルールや新しい価値観に世界を塗り替えていかなければなりません。生活も大きく変容し、当然のこととして、あらゆるビジネスにおいて「サスティナビリティ(持続可能性)」という観…
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公開会社法結語:株主の行き過ぎた権限を抑制する
前稿掲載のように、今月(2010年2月)にも政府は法制審議会へ諮問を行い、ついに公開会社法が立法手続きの俎上に載ると予測される。3月からの国会論戦を前に、ここでいったんこれまでの議論を総括しておきたい。
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公開会社法、読者のご意見にお答えする(2):規制強化について
前稿掲載後、さらなるインタビュー活動に走りまわった。グリーの田中良和社長に代表される、マザーズ、ジャスダックといった新興市場に上場したベンチャー企業の経営者10人以上、エンジェル、ファンドの方々40名以上…この場を借りて、心から御礼を申し上げます。
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【宇宙戦略(6)】宇宙基本計画を戦略に昇華させるために
前回の原稿「JAXAを文科省から切り離せ」では、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の位置づけについて「宇宙政策の対象を開発から利用まで拡大するため文部科学省傘下から外すべき」との考えを書かせていただいた。それに関連し、今回は「宇宙基本計画」についても意見を述べたいと思う。
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公開会社法、読者のご意見にお答えする(1):ガバナンスについて
「株主至上主義との決別」「公開会社法、民主党はこう考える」を公開した後、多くの読者から今流行のツィッターを通じてたくさんの貴重なご意見をお寄せいただいた。一つ一つに感謝申し上げる。それらのご意見を私なりに整理し、今回から数回にわたって可能な限り答えていきたいと考える。引き続き、ご意見をいただきたい…
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安易にサプライチェーンを開いてはいけない
最近赤字が続くメーカー各社の方から、これからは自社のサプライチェーンを開いてEMSやOEMを活用することでコストを下げていくアジアの競合各社が採っているビジネスモデルに転換する方向がよいのではないかという声をときどき聞くことがあります。
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公開会社法,民主党はこう考える
前回の記事「株主至上主義との決別」では非常に大きな反響をいただいた。冒頭でご説明させていただいたにもかかわらず、うまく読者の方に伝わらなかったことは民主党公開会社法プロジェクトチームの研究内容と藤末個人の主張が完全に一致しているわけではない、ということである。
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三輪車の魂
お正月なので、志も大きく、でっかいテーマにチャレンジしてみました。「生きるとは何か?」です。…ずいぶん大きく出てしまいました。技術者視点で考える時、比較的分かりやすいのが“還元論”でしょうか。良く言われる話ですが、人を構成する炭素原子は、一年もすると大半が入れ替わってしまうのだそうです。生き物を形…
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株主至上主義との決別
2010年1月5日の日経新聞朝刊で「公開会社法 本格議論進む」という記事があり、民主党のプロジェクトチームで作業をしている私の意見をブログに述べたところ、多大な反響をいただいた。この場を借りて誤解なきように申し上げたいが、民主党プロジェクトチームの主眼は、公開会社もそうでない小規模の会社も、同一の法…
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【宇宙戦略(5)】JAXAを文科省から切り離せ
事業仕分けにおいて、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が厳しい評価を受けた。国際宇宙ステーションへの補給機HTVの予算260億円は1割カット、「GXロケット」の開発費58億円は予算計上そのものが見送りと判断されるなど、その存在意義を根底から問われる状況となっている。
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日本の鉄道技術を世界に売り込むために
11月末に、日立製作所が製造した新幹線がイギリスの鉄道会社に納入さたというニュースが流れた。おりしも11月16日、JR東海が「高速鉄道シンポジウム」(名古屋)の場で世界の鉄道関係者に新幹線の高速運転試験を公開したところだった。そこでは米原―京都間を最高時速332キロで試験運行し、わが国の新幹線の高…
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米国人夫と日本人妻の間の深い溝
最近、非常に悲しい事件の取材を依頼された。不思議なことに日本ではほとんど報道されなかったけど、この10月、九州のある田舎町がにわかに世界の脚光を浴びることになった。そこは、福岡市から行けば2時間ほどかかる柳川という町。「川下り」の観光所として知られている場所だけど、ここで悲劇的な事件が繰り広げられた…
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「次世代スパコン・プロジェクト」論争で分かったこと
これまで2回にわたって、スパコンの仕分け調査に関して議論を進めてきた。それに対して参考とすべき多くのコメントをいただいた。深く謝意を表したい。その議論を含め、科学技術政策についての基本的な考え方を問い直す、とてもよい機会になったと思っている。
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「次世代スパコン・プロジェクト」が復活しそうなワケ
予算仕分けにおいて「次世代スパコン・プロジェクトの来年度の予算計上は、見送りに限りなく近い縮減」という評価が下され、そのことが大きな議論を呼だ。それを受け菅科学技術担当大臣は、スパコンを含む科学技術政策の事業仕分け調査評価結果について見直すと発言した。
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こだわりの死角
日本の道具観を語る時に、箸と着物がよく取り上げられます。箸はフォークやナイフなど洋食器との比較で、着物はシャツやパンツなど洋装と比べて考えると、その独特な設計思想がみてとれるというわけです。今回はこの両者に込められた日本風なモノづくり観、モノとの付き合い方について語りたいと思います。
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「次世代スパコン・プロジェクト」がダメ出しされたわけ
次世代スーパーコンピュータ(スパコン)プロジェクトとは、1秒間に1京回(1兆の1万倍)の演算性能を持つ世界最高速のスパコンを作ろうというもの。2006年度から理研、富士通、NEC、日立製作所が共同で設計を開始し、2012年の完成を目指した「国家基幹技術」と位置づけられたプロジェクトである。
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日本のサイエンスパークに欠けているもの
先週(2009年10月23日に)台湾の新竹サイエンスパークを訪問しました。私は新幹線で台北から行きましたが、所要時間は30分くらいです。この地を訪問したのは10年ぶりでした。十年一昔といいますが、想像以上の変貌ぶりでびっくりしました。
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科学技術関連補正予算2700億円の行方
「最先端研究開発支援プログラム」は、麻生政権の下に「景気対策の一環」として作られました。総額2700億円の研究基金を作り、30のプロジェクトに1件当たり3~5年間で30億~150億円を助成するものです(採択プロジェクト30件はhttp://www8.cao.go.jp/cstp/sentan/kou…