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 周囲から尊敬の眼差しで見られる優れた技術者ほど、同じインプット情報から、凡人には思いも付かないような優れた解をスパッと短時間で見つけ出します。「こういう手順で考えたから、このようなアウトプットに到った」というよりは、「だって思いついちゃったんだもん」という感じでしょうか。このように、思考プロセスがブラックボックスになっているほど、彼の優秀さはますますミステリアスなものになり、憬れの度合いも上がろうというものです。論理的に地道に可能性を絞り込んでいくのではなく、「美しい解」を閃きで追い求める彼らの姿は、まるで芸術家か何かのように映るはずです。

3種類の非論理的な人

 では「論理的」とは一体何なのでしょうか。この問題は、逆に「非論理的」な人のイメージを考えていくと判りやすそうです。ということで、「非論理的」と思われてしまうと想定できるステレオタイプな技術者たちを3種類に類別化してみました。

(1)まずやってみろ系 <三現主義>

 問題を解こうとする時、情報を集めることから入るタイプです。材料技術者なら「机で考えてばかりいても何も進まないぞ、そんな時間があったら実験室でフラスコでも振ってみろ」、営業なら、「延々と会議を続けていてもらちがあかない、お客さん回りでもしてヒントの一つでも見つけて来い」と上司が部下の尻を叩く。よくあるシーンです。問題を解決するには、関連情報を集める帰納法といわれるアプローチと、理屈を詰める演繹的なアプローチがありますが、前者の空気の強い職場ではこのようなシーンが繰り返されることになります。「手を汚せ」とか「足で稼げ」という表現は、ポジティブな使い方をされることが多いですね。

 日本の製造業の競争力の源泉の一つに三現主義というものがあります。現場に行って、現物を観て、現実を知ることこそが真の答えへの近道であり、王道であるという哲学です。逆に言えば、三現主義というものは座右の銘として常にリマインドし続けていないと疎かになるつらい道だよと言う意味なのかもしれません。「事件は現場で起きているんだ」と叫んだ青島刑事を思い出します。