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 2005年には衛星・航空写真表示ソフトウエア「Google Earth」を公開し,新たな驚きをユーザーに与えた。世界各地の衛星・航空写真を高解像度で簡単に見ることができるこのソフトウエアは,開発元の米Keyhole社がGoogle社に買収されるまでは有償製品だった。

 ところが,サービスは基本的に無償で提供し,広告で収益を上げるビジネスモデルを採るGoogle社は,買収後にこのソフトウエアをも無償公開した。一般の人にとってそれまでテレビのニュース番組などで目にする程度だった衛星・航空写真が,一気に身近な存在になったのだ。しかも同社は,衛星・航空写真をWWWサイト経由の地図サービス「Google Maps」でも表示するようにし,加えて他のサービスからGoogle Mapsの機能を利用できるようAPIまで公開している。

 こうしたGoogle社の数々の先鋭的な取り組みは,いわゆる「Web 2.0」と呼ばれる,インターネットの新たな潮流を代表するものといえる。米Yahoo! 社や米Microsoft社などの競合他社は,Google社が次々に繰り出す手法への追随を余儀なくされた。

携帯電話,カーナビ,次は家電

 Google社の強さは,確かな技術力に裏打ちされている。同社は,「検索エンジンのアルゴリズムを開発するソフトウエア企業」というイメージが強いが,実はハードウエア関連の技術者も数多く抱える。

 例えば,1日に数億件ともいわれるユーザーからの検索要求に対して瞬時に回答を出すには,膨大な処理能力を持つ大規模なサーバーが必要になる。Google社は自社でLinuxベースのラックマウント型サーバーを構築し,数十万台以上ともいわれるコンピュータを同時に稼働,そこに分散コンピューティングなどに関する自社技術を応用している。

 Google社はここ数年,WWWサイトに掲載されたテキスト情報のみならず,映像や音声,書籍などさまざまなコンテンツをデータベースに取り込み,サービス開発のスピードを上げている。サービスを受ける端末は現在ではパソコンが中心だが,多様な機器への展開も進めている。例えば,KDDIは2006年7月から携帯電話のインターネット・サービスのトップ画面にGoogle Searchの検索窓を配置する。また,ドイツVolkswagen社とはGoogle Earthを利用したカーナビを共同開発中である。

 Google社が収益源とするインターネットの広告市場の成長余地はまだ大きく,同社の影響力は今後も拡大していくだろう。そのとき,日本の家電メーカーは,莫大な量の情報とコンテンツを抱えるGoogle社と手を組むのか,もしくは独自にWebサービスを提供して対抗するのか,選択を迫られることになるだろう。

内田 泰