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製造業が標準化作業に参加

 市場拡大と利益確保のために欧州ではまず,これまで行政が主導してきた標準化作業を,業界団体が中心にやるようにして,特に通信設備メーカーの意見を反映して,彼らの競争力が上がるような仕組みにした。その仕組みとは,自らのノウハウがたまって差異化の源泉となる部分は標準化から外すようにもっていくことだ。

 GSMの標準規格は,携帯端末,基地局,交換機の三つのセグメントに大別され,市場も端末市場,基地局市場,交換機の三つに分かれる(市場規模はほぼ1:1:1)。全規格量(ページ数でカウント)は,6374ページにも及ぶが,このうち47.5%は携帯端末に関する規格に当てられており,誰が作っても同じになるようにオープンな領域にしている。一方で,基地局や交換機では,規格量も比較的少なく,クローズドな領域が多い。どこまで標準化(オープンに)して,どこを標準化しない(クローズドにするか)かについて,活発な議論が行われたそうだ。

 例えば,無線基地局,基地局制御装置,交換機間のインターフェースの標準化をどうしたらよいか,について議論された。選択肢としては,(1)無線基地局,基地局制御装置,交換機間のすべてのインターフェースを標準化しない,(2)基地局制御装置と交換機の間のインターフェースは標準化するが,無線基地局と基地局制御装置の間は標準化しない,(3)すべてのインターフェースを標準化する――という三つがあるが,結果としては折衷的な(2)に落ち着いた。

「内圧」と「差異化」のバランスをとる

 通信事業者にとっては,(3)が最も望ましく,各装備品をバラバラに調達できて水平分業化が進んでコスト面でも有利になる。これはつまり,前述の「内圧」をもたらす源泉となる。しかし,すべてを標準化してさらけ出してしまうと,通信機器メーカーにとっては,差異化の源泉がなくなってしまう。そこで,両者のバランスをとったということだ。

 こうして,基地局制御装置と無線基地局の間のインターフェースが標準化されていないことにより,先行してトータルソリューションの一環として基地局制御装置を導入してしまえば,サービス領域を拡大するために無線基地局を増設する際に,先行メーカーが有利になる。