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 こうした嵐のようなオープン領域と「壁」を隔てて,静かなクローズド領域を持っているのがプラットフォームである。こうしたプラットフォームを形成するポイントは,自らのノウハウが詰まったコア技術の中核にして,周辺技術を取り込んでモジュール化し,他のモジュールとのインターフェースを標準化することだ。

プラットフォームの外は嵐

 これを最初にやってのけたのが米Intelである。そのポイントは,同社の中核部品であるMPUの周りに様々な補助的なマイコン群を組み合わせ,DRAMやハードディスクなどの他の部品とのインターフェースを標準化したモジュールであるチップセットを提供したことである。90年代後半よりこのチップセットをプラットフォームとして,台湾メーカーに提供することによって,パソコン産業は一気に水平分業化が進んだ。これにより,同社のプラットフォームの外にいる部品や完成品の低価格化に歯止めがかからなくなった。特に技術力がある先進国メーカーは開発投資を回収できずに疲弊したが,プラットフォームの中にいるIntelは安泰で,安定した利益を上げてきたのである。

 モジュール化と水平分業化が急進展する中で,競争力が高い企業はなんらかの形で,このIntel的なプラットフォームを形成していることが多い。しかも,先進国企業だけでなく,台湾のメディアテックのようにプラットフォームのユーザーであったアジア系企業がプラットフォーム戦略を展開している。

統合型企業のプラットフォーム戦略とは

 これまで,こうしたIntel的な部品メーカー主導のプラットフォーム戦略は垂直統合型の企業が多い日本メーカーには採用しにくいと言われてきた。完成品部門の比重が高く,完成品の付加価値を下げる傾向のある部品を中核としたプラットフォーム戦略はとりにくいのである。中核部品を外販して水平分業化が進んで完成品の競争力を下げる現象は,「統合型企業のジレンマ」とも呼ばれ,日本製造業の悩みの種だった。

 その意味で,垂直統合構造を持つ企業が,製品や部品含めてシステム全体を標準化できるという強みを生かして,プラットフォームの内部にインフラ事業などの差異化部分を組み込むという欧州GSMをめぐる戦略には,同じ垂直統合の構造を持つ日本企業が学ぶところは多いに違いない。