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図1◎新型「ライフ」
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図2◎リアビュー
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図3◎インパネ
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図4◎荷室
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図5◎NAエンジン
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図6◎ターボ車
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図7◎ターボ車のインパネ
図7◎ターボ車のインパネ (画像のクリックで拡大)
図8◎ターボエンジン
図8◎ターボエンジン (画像のクリックで拡大)

 ホンダ「ライフ」が、全面改良して4代目となった。従来の3代目が、軽自動車の質を大きく向上させ、快適さと安心感を強く印象付けただけに、新型への期待は大きかった。

 新型は、従来型に比べて車高が30mm高くなり、1.6mを超えるダイハツ工業の「ムーヴ」やスズキ「ワゴンR」の背の高さに近づいた。この車高の高さは、前席の着座高さを35mm上げることにもつながっている。サイドウィンドー下端の高さは従来型から変えていないということなので、相対的にサイドウィンドーの面積が縦方向にも広がっている。このため外観を一見したところでは、ムーヴやワゴンRの競合車というより、さらに車高の高い1.7mを超えるタントやパレットに近い車格に見える。

 運転感覚も、そうした10cm近く背の高い車種に近い。ガラス面積が縦方向に増え、着座位置も高くなったせいではないだろうか、運転していて、天井が重いような重心の高さを覚える。しかも、わずかなステアリング操作に敏感に進路を変えるため、落ち着きがなく、安心して真っ直ぐ走れるという信頼感が低い。

 電動パワーステアリングの感触は軽く、そのこと自体は軽自動車として悪くはないが、セルフアライニングトルクによる自然な戻りの感触が手に伝わらず、意識して戻さなければならないため、運転中に気を許せない状態が続く。それが、落ち着きとか、信頼感の乏しさとして感じられるのだ。

 エンジンは、自然吸気(NA)とターボチャージャ付きの2種類で、とくにターボエンジンのほうは排気量の大きなエンジンを搭載しているかのように、発進から加速に至るまで、ゆとりを持って新型ライフを走らせ、快適だ。しかも、新型ライフから新しく低燃費走行を知らせるエコランプが目立つようにメータに配置され、それが頻繁に点灯するので、ターボエンジンでも結構燃費が良さそうだという嬉しさがある。

 一方、NAエンジンは、とくに発進で非力な印象を受けた。そこからある程度速度に乗ってからの、いわゆる中間加速においては伸びのある気持ちよさを覚えたが、日常的に頻度の高い発進・停止の繰り返しで物足りなさを覚えるのは残念だ。そして、エコランプも、よほどアクセルを戻さないと点灯しないため、ターボエンジンに比べ燃費走行をしているという実感というか、嬉しさが少ない。

 ベルト式無段変速機(CVT)を採用する軽自動車が増えている中、4速自動変速機(AT)しか持たない新型ライフでは、NAエンジンの場合、発進時の力不足は仕方がない面があるのかもしれない。1速以後のギア比と、燃費との兼ね合いもあるからだ。

 新型ライフは、生活の中で実感できる運転のしやすさと使い勝手の良さを追求した“デイリー・スマイル・テクノロジー”をコンセプトに開発されたという。大きな窓によって視界を向上させたとか、バックモニターを廉価版以外には標準装備したとか、座席クッションの厚みを増して快適さを高めたとか、乗り降りしやすいセンターピラーグリップを備えたなど、親切なアイディアはたくさん盛り込まれている。

 だが、クルマとしての本質的な部分で、毎日笑顔では運転しにくいような不満を覚える。従来型ライフは軽自動車の走りの質を格上げし、最新のムーヴやワゴンRを飛躍的に上質にする原動力になったはずだ。しかし新型ライフは、数々のアイディア装備はあるものの、クルマの基本性能では競合他社の後塵を拝したといわざるを得ない。

 「従来型は、コストを掛けたが売れなかった」との声も耳に届く。しかし、あるホンダカ-ズ販売店の所長が、「軽自動車を売ったことがない」とテレビで堂々と答えている映像を見た。営業がフィットの販売に手一杯で、売る努力を十分にしなかったということはなかっただろうか?

 もし、従来型ライフに新型のアイテムが盛り込まれたら、これほど満足度の高い軽自動車はなかっただろうと思えてしまう。