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写真4 バークレイズ銀行本店。ロンドンの再開発新都心、カナリー・ワーフ (Canary Wharf) にある。

 1978年には、バークレイズ銀行(Barclays Bank, 写真4)がケンブリッジでのハイテク・ベンチャー企業の積極的な支援を開始。こうして、ハイテク企業の集積のための下地が自律的に形成され、1990年までにケンブリッジ市とその周辺に800を超えるハイテク企業が集積していった。

 それは、政府や地方自治体による誘致の結果ではなく、まったく自己組織的なクラスター形成であった。そこで1985年にコンサルタント会社SQ & Partners(現在SQW, Segal Quince Wicksteed)の社長ニック・シーガル(Nick Segal)が、これを「ケンブリッジ現象」と名づけた 。実際、従業員数50人未満の企業が全体の85%を占めている事実、また政府の援助がないにもかかわらず今もなお集積する企業があとをたたないのは自然発生的な「現象」と呼ぶにふさわしい。

エイコーン社の誕生

 1980年代に入って、ケンブリッジの起業家集団の中からいくつかの成功企業が現れ始めた。図1に、ケンブリッジ現象のうち特徴的な2つの系譜を示す。1つはエイコーン(Acorn)社から始まる系譜。もう1つは、PA(Private Advisor Technology)社から始まる系譜である。

図1 ケンブリッジ現象におけるベンチャー企業の系譜の一部。エイコーン社に端を発する系譜とPAテクノロジー社に端を発する系譜とを記す。四角で囲んだ企業はインキュベーターの役割を果たした企業。なお、赤いラインはハウザーの系譜を示す。
図1 ケンブリッジ現象におけるベンチャー企業の系譜の一部。エイコーン社に端を発する系譜とPAテクノロジー社に端を発する系譜とを記す。四角で囲んだ企業はインキュベーターの役割を果たした企業。なお、赤いラインはハウザーの系譜を示す。 (画像のクリックで拡大)