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子育てや教育のための国債も

 相続税の免税を盛り込んだ制度は、国債を個人に買っていただくことを目的としています。そしてもう一つ、この国債で重要なのは、「返済期間の長期化」です。下の図を見てください。来年度はなんと78兆円ほどの国債が満期を迎えるのです。つまり、78兆円の借金を借り換えしなければなりません。この金融の混乱の中で相当大変な仕事になります。

出典:財務省資料

 このような状況で30年という長期国債を売るということは、国の財政を安定化するという意味では非常に大きな意味があります。

 筑波大学の平山朝治准教授は、「相続国債のような魅力的な相続資産形態を開発し、そこから得られた資金が老後や次世代のために有効に使われていることを購入者が実感できるようになれば、相続対象資産に対する需要も拡大し、高齢化による貯蓄率低下傾向を相殺することも十分に期待できる」と指摘されています。子や孫のためにお金を使いたいと考えておられる高齢者の方々は多いのです。そうであれば、「緑の国債」だけでなく「子育て国債」、「教育国債」などのバリエーションもありえるでしょう。

 このような制度によって財源を確保することは重要です。でもグリーン国債を発行するということには、それ以上の意味があると思っています。それは、従来の考え方を変えるということです。

 これまでの考えといえば、長期的な投資は「道路や橋」だけであり、建設への投資ではなければ借金はできない、というものでした。それを象徴する存在が国債だったわけです。そんな古い考えを今こそ捨てるべき。そう痛感する今日この頃です。

著者紹介

藤末 健三(ふじすえ けんぞう)

早稲田大学客員教授 中国清華大学顧問 参議院議員

1964年熊本県生まれ。86年東京工業大学卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に行政官として入省。95年マサチューセッツ工科大学経営学大学院に留学、96年には同大学院とハーバード大学行政政治学大学院で修士号を取得。99年東京工業大学で学術博士号(Ph.D)を取得し通商産業省を退く。同年東京大学大学院工学系研究科専任講師に就任、2000年から同総合研究機構助教授。04年民主党参議院選挙に比例区で当選する。早稲田大学客員教授、中国の清華大学顧問も努める。公式ブログはhttp://www.fujisue.net

本稿は、技術経営メールにも掲載しています。技術経営メールは、イノベーションのための技術経営戦略誌『日経ビズテック』プロジェクトの一環で配信されています。