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 それは、宇宙開発利用に関係する企業が将来の需要を予測することができるようになることです。

 この10年、宇宙関連機器の国産率はどんどん低下しました。例えば、H-2の国産化率は90%ですが、H-2Aの国産化率は40%しかないのです。この原因のひとつに長期的な計画の不在があります。企業にとって先の需要が予測できないため新たな設備投資などを躊躇し、多くの企業が宇宙事業から撤退し、結局は海外の部品などを採用することになったためです。特に最近では株主の発言権が強くなり、株主に将来計画を説明できない事業は支持されません。

 今回、打ち上げ計画が明確になれば企業も事業計画が作成しやすくなり、産業育成という観点から大きな一歩となります。

 皆さんは、長期計画など簡単にできるのではないか、と思われるかもしれません。しかし現実には、「長期的な予算支出を約束するような計画には財務省が大反対」します。私も20年くらい前に電子産業基本計画といったものの策定に参加しましたが、当時の大蔵省との関係もあり、予算に関係することは一切書けず、小型化、標準化、ネットワーク化など抽象的なことの列挙となりました。これに比べればすごい内容なのです。「低レベルでの比較」とのお叱りを受けるかもしれませんが。

 小さくとも、進歩は進歩です。宇宙開発戦略本部を作らなかったらこのような長期計画はできなかったでしょう。もし、特定の省庁が作成しようとしても財務省から「逆らえば予算を減らす」と脅されれば、逆らうことはできないからです。

 実際に、文部科学省の下にある宇宙開発委員会が作成した「宇宙開発政策大綱」では、このような「他省庁の所管までかかる」また「明確な長期計画」は作ることができませんでした。それは宇宙開発委員会の能力の問題ではなく、その位置づけにあると思います。

出典:宇宙開発戦略本部資料
出典:宇宙開発戦略本部資料