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 カメラ映像機器工業会(CIPA)が4月30日に発表した2009年3月のデジタル・カメラ(デジカメ)の出荷統計によると,金額ベース,台数ベース,デジカメのタイプ,地域を問わず,前年同月比ですべて2桁のマイナス成長となった。まさに「安全地帯のない市場」である。

 出荷台数は前年同月比30.6%減の768万台となった。国内向けは同20.6%減の96万台,輸出は同31.9%減の672万台である。地域別では欧州が同37.5%減,北米は同35.0%減,アジアは20.8%減,その他向けは同22.3%減となった。出荷金額は同43.4%減の1,169億円。国内は同32.7%減,輸出は同45.3%減である。

市場に底打ち感

 しかし,大幅な出荷減が続いていることは,裏を返せば市中在庫の削減の進捗が期待できるということである。デジカメ・メーカーの1~3月期決算では,次々と明るいコメントが出てくるようになった。

 ニコンは4月27日に2008年度(2008年4月~2009年3月)の業績予想を上方修正した。理由は,デジカメ事業が予想より好調だったことである。市中在庫が期待よりも早く適正化しつつあるため,予定していた生産調整を緩めたことが利益増につながった。

 キヤノンは4月30日の説明会で,事務機の事業環境が予想を超えて悪化しているのに対して,デジカメについては想定以上に販売が好調なことを明らかにした。同社はデジカメの売上高と利益のいずれの予想も上方修正している。

 デジカメ各社の生産調整に加えて,各社各様の趣向を凝らした春の新製品が,低調とはいえ,デジカメ需要を下支えしているもようである。

キヤノンの「X3」への期待

 回復の萌芽が見えてきたデジカメ市場を勢いづかせる可能性を持つ製品が登場した。デジカメのトップ・メーカーであるキヤノンが投入した「EOS Kiss digital X3」だ。品種別シェアで圧倒的な存在感を示した「EOS Kiss digital X2」の後継機種となる普及機である。同製品の競争力は群を抜いており,キヤノンとシェア・トップを争うニコンですら,同製品との直接対決を避けることで,ようやく収益性の改善に成功している。

 「EOS Kiss digital X3」は4月24日に発売された。「X2」の発売時よりも値下がりペースは早いものの,好調なセールスを記録しているもようである。APS-Cのセンサーで1510万画素というのは“オーバーピクセル気味”だが,フルHD対応動画撮影機能,ISO3200の高感度撮影機能など中高級機並みの機能を誇る点で,買い得感がある。

 ニコンは対抗機として5月1日に「D5000」を投入した。液晶部分が可動するという特徴を持ち,ハイビジョン動画撮影機能も装備している。両雄の新製品投入,特に定番モデルを刷新したキヤノンがどこまでデジタル一眼レフカメラ市場を活性化できるか注目したい。