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 これまで住宅用が中心だった太陽電池の用途が広がってきた。2009年5月にトヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」が,2009年6月にKDDIの携帯電話機「SOLAR PHONE SH002」が,太陽電池を搭載して登場した。

 今後も,太陽電池を搭載する機器は増えそうである。KDDIに次いで2009年8月下旬に太陽電池搭載の携帯電話機を発売するソフトバンクモバイルは,「太陽電池を搭載する携帯電話機のラインナップが増える可能性がある」とした。

部材メーカーが積極的

 関連メーカーの動きも活発になっている。シャープは,携帯機器向けの太陽電池モジュールを開発し,2009年7月から量産すると発表した。ある材料メーカーは「車載太陽電池に対応するため,自動車用の開発センターを活用する」と,自動車への太陽電池の搭載増加を見越して積極姿勢を打ち出した。

 太陽電池を搭載する機器が増えれば,太陽電池に新規参入するメーカーも出てくる。これまで開発を進めるメーカーは「一部の携帯機器に搭載するだけでは,市場規模が小さすぎる。Liイオン2次電池のように,多くの携帯機器が搭載するようにならないと参入できない」(色素増感型太陽電池を開発する家電メーカー)という状況だったが,これが変わる。

さらなる用途拡大には課題も

 各メーカーの思惑通りに,太陽電池が各機器の主要な機能の一つになるには,特性向上が欠かせない。現在,プリウスでは夏場の車内温度を約80℃から約50℃に下げる換気に,携帯電話機では約10分間の充電で約1分間の通話を可能にする非常用電源に,太陽電池を活用するにとどまっている。これらを,多くのユーザーが納得するレベルに引き上げる必要がある。

 さらに,形状の自由度といった特性も重要になる。例えばプリウスでは,太陽電池パネルを設置するために,屋根の一部を凹ませて空気抵抗を削減する「パゴダ・ルーフ」を採用できなかった。表面をガラスで覆う太陽電池パネルを部分的に凹ませるのが難しかったからである。

 住宅用太陽電池の市場急拡大と,新たな用途への広がりによって,太陽電池に対するユーザーの注目度と期待感が高まっている。以前よりも,ユーザーを満足させるハードルは高くなっていることは確かだ。太陽電池メーカーは,この期待感に応えるためにも,早急に太陽電池の特性を高める必要に迫られている。

 ただし,太陽電池の特性を一朝一夕に引き上げることは難しい。プリウスも携帯電話機も,現在主流の多結晶Si型太陽電池セルを用いている。多結晶Si型太陽電池セルはこれまで,長い歴史の中で徐々に特性を高めてきた。特性向上のペースを急激に引き上げることは容易ではないだろう。新たな用途に十分に応えていくには,新規参入メーカーを含め,より一層高い効率を狙える新たな方式の太陽電池の開発を加速する必要がある。