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 1980年代後半から1990年代初頭にかけては,日本の半導体メーカーが世界の半導体設備投資の過半を担っていた。そのため,日本の半導体製造装置メーカーは地場志向も手伝って,日系半導体メーカーへの事業依存度が非常に高い。これは,製造装置メーカーが商談を獲得するために他の業界では見られないさまざまな譲歩を行い,「日本スタンダード」とも呼べる歪んだ商慣行を生み出す温床にもなった。その中の一つが「売掛金問題」である。

歪んだ商慣行,日本企業との間で発生した売掛金問題

 多くの日本の製造装置メーカーと日本の半導体メーカーとの間では,検収後6~9カ月に及ぶ売掛金の支払い条件が設定されていた。ちなみに,海外の半導体メーカーでは,「検収の月に90%,翌月に10%」といった支払い条件が一般的である。日本の半導体製造装置メーカーの海外売上比率が増える過程で,売掛金の回収期間は大きく改善していくことになる。

†検収=納入した装置が要求通りの仕様になっているか,顧客の半導体メーカーが検査すること。

 ただ,日本の半導体メーカーは海外の製造装置メーカーに対しては,日本の製造装置メーカーに対するよりも極めて短い期間で,製造装置の代金を支払っていた例が多い。このことは,あまり日本の製造装置メーカーには知られていなかった。2000年前後に,(誰がとは言わないが)暴露した人間がいて,装置メーカーに衝撃を与えた。

 日本の製造装置メーカーの国内市場依存度は,外国の半導体製造装置メーカーよりも高い。加えて,日本の半導体メーカーは,国内の製造装置メーカーには長期間の支払い条件で契約していた。これら二つの要因により,日本の半導体製造装置メーカーは“資金回収期間の長期化”で苦しむことになった。

2000年度になっても「売上債権の回収期間」で大きな日米格差

 資金回収期間の違いが,いかに日本の半導体製造装置メーカーの資金収支に影響していたかを示す。

 図1は,2000年度の有価証券報告書およびアニュアル・レポートを基に作成した売上債権の回収期間である。支払条件の良い海外顧客の比率が増加したにもかかわらず,日本の製造装置メーカーの売上債権回収日数は100日を超えている。

図1 2000年度の各社の売上債権回収期間
野村證券 金融経済研究所のデータ。
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