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「水平分業」へ

 もう一つ、興味をそそられる点は、自動車メーカーと電池メーカーの関係がどうなるかということだろう。すでにトヨタ自動車はパナソニックと「パナソニックEVエナジー」を、日産自動車はNECと「オートモーティブエナジーサプライ」をそれぞれ合弁で設立している。三菱自動車もGSユアサと三菱商事の3社で「リチウムエナジー ジャパン」を設立した。

 各自動車メーカーが有望な電池技術を持つメーカーを他に盗られまいと、慌てて「結婚」したようにも見える。だが蜜月はそう長くは続かず、2次電池の水平分業化はまず避けられないだろう。前出のレポートを発刊した後、実際に自動車メーカーやエレクトロニクスメーカーへの聞き込みを進めてみて、改めてその意を強くしている。

 誰もが一番優れたものを選ぼうとすれば、一つのメーカーに人気が集中し、各分野の上位1~2社だけが残る「寡占化」が進む。これはかつてパソコン業界で、CPUのIntel、OSのMicrosoftが圧倒的な強さを手にしたのと同じカラクリである。

 画期的な2次電池の技術が今後どんな分野のどのメーカーから出てくるか分からない。けれど、2次電池こそが電気自動車やハイブリッド車の性能を決定する「要」でもあることは間違いないだろう。何しろコスト比率が高い。電気自動車では2次電池のコストが全体の約半分であり、将来的にコストダウンが進んでも3割程度を占めることになるだろう。たとえ自社で電池を持っていようと、他に画期的に優れたものがあったり、格段に値段か安いものがあれば使わざるを得なくなる。モーターもまた差異化要因ではあるが、成熟した技術であり、コスト比率もさほど高くないことから、ここで決定的な差を打ち出すのは難しいだろう。

 この「キーコンポーネント」である電池を手掛けるエレクトロニクスメーカーで注目されるのは、三洋電機、東芝、ソニーである。三洋電機はLiイオン電池分野での高いシェアを強みに、米FordやドイツVolkswagenといった複数の自動車メーカーに商品を供給している。だがトヨタとアライアンスを組むパナソニックが三洋電機を買収したことで、今後、台風の目になるのは間違いない。パナソニックは、Liイオン電池では両社合わせて世界シェアの約4割(2008年ベース)という圧倒的な強さを得たことで、三洋電機の戦略を踏襲するかたちでマルチクライアント供給体制へと向かっていくだろう。