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図1●国内携帯電話事業者3社の総合ARPUと対前年度比成長率の推移(2004年度〜2008年度実績)。出所:各社の決算発表時の公表データから「日経マーケット・アクセス」が算出。
図1●国内携帯電話事業者3社の総合ARPUと対前年度比成長率の推移(2004年度〜2008年度実績)。出所:各社の決算発表時の公表データから「日経マーケット・アクセス」が算出。
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図2●主要3通信事業者の携帯電話セグメントの主要経営指標(2007年度〜2008年度実績)。出所:各社の決算発表時の公表データ。
図2●主要3通信事業者の携帯電話セグメントの主要経営指標(2007年度〜2008年度実績)。出所:各社の決算発表時の公表データ。
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図3●国内携帯電話事業者3社の総合ARPUの四半期ベース推移(2004年度第1四半期〜2008年度第4四半期実績,2009年度通期予測)。出所:各社の決算発表時の公表データ。
図3●国内携帯電話事業者3社の総合ARPUの四半期ベース推移(2004年度第1四半期〜2008年度第4四半期実績,2009年度通期予測)。出所:各社の決算発表時の公表データ。
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図4●国内携帯電話事業者3社の音声ARPUの四半期ベース推移(2004年度第1四半期〜2008年度第4四半期実績,2009年度通期予測)。出所:各社の決算発表時の公表データ。
図4●国内携帯電話事業者3社の音声ARPUの四半期ベース推移(2004年度第1四半期〜2008年度第4四半期実績,2009年度通期予測)。出所:各社の決算発表時の公表データ。
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図5●国内携帯電話事業者3社のデータARPUの四半期ベース推移(2004年度第1四半期〜2008年度第4四半期実績,2009年度通期予測)。出所:各社の決算発表時の公表データ。
図5●国内携帯電話事業者3社のデータARPUの四半期ベース推移(2004年度第1四半期〜2008年度第4四半期実績,2009年度通期予測)。出所:各社の決算発表時の公表データ。
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 国内の携帯電話事業主要3社は2008年度(2008年4月~2009年3月)決算発表に合わせて,1契約当たりの月間収入であるARPU(Average Revenue Per Unit)を公表した。各社の契約数を加味した平均総合ARPU(音声とデータ通信)*1は2008年度で5425円,対前年度比は10.1%減と減少が一段と加速した(図1)。

*1 特に断らない限りは,第2世代携帯電話サービス,第3世代携帯電話サービスの契約数を合わせたARPUで,KDDIの場合は同社au部門のデータである。パソコンや携帯情報端末(PDA)に装着して利用するデータ通信専用カードは除く。

 音声通話の一部定額化や割引制度の利用が進んで,音声ARPUの減少率が対前年度比で2割弱まで拡大した。一方のデータARPUは,過去2年度にわたり年率7%以上で伸びているものの,音声ARPUの減少を補うだけの力はない。こうした状況を受け,携帯電話事業各社は,データARPUの引き上げに注力する。

 各社がその原動力になると考えているのが,動画やゲーム,アプリケーション・プログラムなどのコンテンツ。ユーザーにたくさん利用してもらうことでデータARPU引き上げを狙う。そのためにサービス内容と料金プランを工夫し,リッチなコンテンツをストレスなく利用できる端末の投入とその普及を進める計画である。

音声ARPUの減少幅拡大で,主要3社中2社が減収減益

 NTTドコモ,KDDI,ソフトバンク3社の2008年度決算は,3社とも減収増益だったが,携帯電話関連事業セグメントだけを抜き出して見ると,NTTドコモとソフトバンクは減収減益,KDDIは減収増益だった(図2)。

 減収は携帯電話事業者が2006年以降相次いで導入した新しい端末販売方式の結果である。この方式は,端末販売奨励金を大幅に抑える代わりに,音声通話を中心に通信料金の長期割引を行うもの。端末販売台数減と通信料金減収と引き替えに,端末を購入してすぐ解約したり,短期間で頻繁に端末を買い替えるユーザーを減らすことで,顧客の囲い込みと利益率向上を図るのが狙いである。音声ARPUの減少が大きくなることは,予想された事態である。

 新しい端末販売方法の導入後,音声ARPUの下落幅は拡大しつつあり,2008年度は対前年度比19.1%減の3214円と,2005年度から1/3以上下落した。一方,データARPUの伸びは同7.4%増の2209円で,4年間で2割強増えた。

落ち込み少ないKDDIが2008年度に総合ARPU首位

 事業者別に総合ARPUの四半期推移を図3に示す。いずれの事業者も2005年以降,音声ARPUの減少を受けて(図4),総合ARPUは下落幅が拡大する傾向にある。

 ソフトバンクモバイルは,家族間通話を除いて時間帯制限を設けてはいるものの,同社の契約者間なら基本料金980円だけで話し放題になる「ホワイトプラン」に加え,携帯電話機の購入から約2年間,電話機価格に応じて通信料金を大幅に割り引く「月月割」*2を2006年度第3四半期に導入したことで,同第4四半期以降,他の2事業者に比べて,ARPUの下落率が大きく拡大した。

*2 ソフトバンクモバイルの契約制度「新スーパーボーナス」の柱となる割引サービス。携帯電話機の割賦購入金額を除く基本料金,通話料などの合計金額から,端末販売価格に応じて決まっている価格まで利用料金を割り引く。上限価格に通信料金が達しなければ,その分は無効になる。2008年10月までは「新スーパーボーナス特別割引」と呼ばれていた。2009年3月から期間限定で始めたiPhone 3G向けでは,この月月割の上限金額を8Gバイト製品の割賦購入代金と同じにすることで,事実上の無償化を図った。スマートフォンの場合,ほぼすべてのユーザーが月月割の上限額以上データ通信を行うためである。

 NTTドコモとKDDIは2007年度第3四半期から長期契約を条件に音声通話料金の大幅割引を開始した結果,音声ARPUの下落が加速した。続いて2008年3月~4月には,相次いで家族間での定額通話サービスも加えた。こうした通信料金の割引は,ソフトバンクモバイルの「月月割」を除き音声通信を対象にしていて,データ通信は対象外である。音声ARPUの四半期推移とデータARPUの四半期推移(図5)を比較すると,総合ARPU減少の原因が音声ARPUであることがハッキリする。

 特にNTTドコモの音声ARPUの下落率はKDDIに比べて大きく,総合ARPUの2008年度第4四半期の対前年度同期比成長率は,マイナス幅を縮小し始めたソフトバンクモバイルと同じ10.9%減になった。KDDIは家族間通信割引の効果が小さかったようで,2008年度のARPU落ち込みが小幅にとどまり,2007年度に最も総合ARPUの高かったNTTドコモに代わって首位になった(図3)。