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 それを受け、「壊すな」という市民運動が盛り上がってきました。市にとっては「目障り」な高架線路をニューヨークのユニークな歴史遺産として保存しようと、二人の市民が訴えたのがキッカケでした。ニューヨークは東京や他の大都会と同様に、文化人や芸能関係者のたまり場でもあります。そんな音楽家、歌手、作家、建築家などが市民運動を支援し、「ハイライン」というプロジェクトが生まれたのです。たとえば有名歌手はそのためのコンサートを開き、新たな「ハイライン」をデザインするために必要な資金を集めました。こうした活動が功を奏し、たった4年で世界でも稀な高架公園が誕生、今夏には一部が開園しました。

写真1
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 私も2回ほど見学に行ってきましたが、かなり丁寧かつ賢く設計されているように見受けられました。たとえば、よくある公園のベンチに加え、ゆっくりくつろぐことができる木製の長椅子が多数設置されており、日光浴に訪れる人が多くそれを利用しています(写真1)。なかには水着を着た美女の姿も・・・。それ以外にも、広い年齢層の多くの人たちがそこを訪れ、都会生活の疲れをいやしてくれるオアシスとして、あるいはかつてなかったニューヨークの「展望台」として、楽しくそこを利用しているのです。

写真2
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 もう一つ感心したのは、そこに植える植物の種類にも目を光らせ、生態系を保つよう配慮していること。その地域に古くから生育している花や植物にこだわり、外来種の植物は植えないようにしているのです。植え方も実に自然。庭園の花壇のように整然としているわけではまったくなく、空き地で勝手に草花が育ってしまった、といった風情です(写真2)。

 そんなアメリカの大都会を離れ、海を渡って訪れたのが人口300万人の国、リトアニアでした。たった19年前に独立した国で、まだまだ素朴さが残る素敵な場所です。田舎に行くと、今でも馬車に乗っている農民に出会うことができます(写真3)。そんな彼らの楽しみは物を買いまくることではなく、家族や友人と美味しい食事やワイン、歌を味わうこと。こんな場所には、ハイライン公園はまったく不要ですね。国中が公園みたいなものですから。

写真3
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 ちなみに今回は、首都ビリニュスに住む友人、インガーに招待されての訪問でした。彼女はアメリカ式の広大な庭付き2階建ての家に音楽家の夫、2歳の息子や子馬ほどもある犬と静かに暮らしています。そのインガーは40歳の弁護士。そんなキャリアの彼女がためらいなく子供を生むことができたのは、この国に先進的な有給休暇制度があったためだといいます。

 「私たちが子育てのために与えられる有給休暇はどれほどあると思いますか」。そう聞かれたので「1年」と答えましたが、不正解。答えは、なんと2年だそうです。最初の1年間は給料の100%が支給され、2年目でも85%が保証されているのだとか。「この規制のお陰で、私たちの国では出産率が一気に上がったのよ」とのことです。日本も本当に少子化対策をしたいなら、この実績ある制度に倣えばいいのではと思うのですが。

 さらにダメ押しのように、2008年からは母親に限らず、父親でも休暇をとれるようになりました。ところが現在の大統領(リトアニアの最初の女性大統領ダリア・グリバウスカイテ)は、不況対策のため、現在の有給休暇を見直す方針を打ち出したとのこと。場所も環境もこれほど違うリトアニアとアメリカですが、目下の悩みはまったく同じということのようです。

 では次回は、やっぱり同じ悩みを抱える日本から!