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 日本の政府も「2020年に120兆円の環境市場が生まれ、280万人の雇用を支える」とは言っています。けれど、具体的にどう予算を確保し、これまでと違う何をするのかを明確にしているわけではありません。ましてや、環境関連ビジネスが世界的に隆盛する状況において、中小企業がどのような状況にあるべきで、そうするためには何をすべきかなど、全く示されていないのです。

タイトル

アジアの成長をわが国の中小企業に

 環境とともに、もう一つ重要なキーワードあります。それは「アジア」。急成長を遂げるアジアに日本企業はどうアクセスするのか、たとえば資金力の乏しい中小企業は、そこへどう進出していくのか、ということです。

 ジェトロ(日本貿易振興機構)が大企業を対象に実施した昨年末のアンケート調査によると、金融危機の中であったにも係わらず「米国発金融危機の影響への対策をどうするか」という質問に対して、「海外での既存事業を拡充する (検討も含む) 」と回答した企業の割合は23%、「海外での新規ビジネス展開を開始する」と答えた企業は22.8%に達しました。依然としてわが国の企業の海外進出意欲は強いのです。

 それは、企業にとって死活問題でもあるからです。事情は、中小企業でも変わりません。成長を続ける新興国へのビジネス展開がぜひとも必要なのです。

 民主党の政策集「政策インデックス」には

 官民連携により、中小企業の世界市場への進出を支援します。技術力はあるものの、ブランド力(信用力)がないために、海外進出できない中小企業があるからです。海外経験のある商社やメーカー等民間OBを活用し、中小企業に対して、販路の拡大、貿易投資等の助言、人脈の紹介を行う制度をつくります。また、政府開発援助の海外事業について、中小企業の投資等を積極的に推進します。

 との記述があります。これを単なる「方針」ではなく、実効的な政策にすることが緊急の課題である。そのことを私たちは肝に銘じなければならないと思うのです。

藤末 健三(ふじすえ けんぞう)
早稲田大学客員教授 参議院議員
1964年熊本県生まれ。86年東京工業大学卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に行政官として入省。95年マサチューセッツ工科大学経営学大学院に留学、96年には同大学院とハーバード大学行政政治学大学院で修士号を取得。99年東京工業大学で学術博士号(Ph.D)を取得し通商産業省を退く。同年東京大学大学院工学系研究科専任講師に就任、2000年から同総合研究機構助教授。04年民主党参議院選挙に比例区で当選する。早稲田大学客員教授。公式ブログはhttp://www.fujisue.net
本稿は、技術経営メールにも掲載しています。技術経営メールは、イノベーションのための技術経営戦略誌『日経ビズテック』プロジェクトの一環で配信されています。