言えない大事
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安全パイにしてはいけない
開発部長が、血相変えて飛び込んできました。「次郎さん、協力企業のあの会社が店じまいするっていうのさ、大変なことになっちまったァ」。店じまい、一体、何が起こったのでしょうか。部長、相当深刻ですヨ。「社長が高齢になって、しかも、息子さんも跡を継がないらしいのサ。だから、無理やり後継者を探すより、余裕の…
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嬉しくないエール
お取引先の重役さん、時々ご一緒するんですが、大酒ァ飲むは、タバコはスパスパ吸うは、おまけに超メタボで、カラダにいいこと、何もなし。そんなシトですヨ。で、その重役に言われたんです。「次郎さん、チョット太りすぎじゃァありませんか。何ごともカラダが大事、メタボじゃダメですよ。自己管理が出来ない人が、ビジ…
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感謝
何やら、お局がアスパラにお説教です。「えっらそうにィ、アンタ、何を言ってんのよォ!せっかく頑張って開発してくれたのに、文句ばっかり言って、アンタ、何様?」。朝からご立腹、よほど何かあったのでしょうナ。
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売らない商品
経営会議でケチョンケチョンでした。聞いてくださいよ、アタシの提案、いいアイデアだと思うんですがネ。だって、最近、出す商品が不調なんですナ。仕方ありませんヤネ、お決まりのコストの話、どれもこれも高いって言われるんですよ。でも、変じゃありませんか、性能は二の次で、コストだけを比較されるなんて…。
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派閥
「おいおい、次郎さんよ、この会社にも派閥があるらしいゼェ」。うちの会社、どうやら派閥ができつつあるようナ。一体、会社に派閥は必要なんでしょうか。困ったもんですナ。今まで、部長が知らないんですから、アタシも初耳です。どうも、会社が大きくなるにつれ、大卒、しかも有名大学から採るようになってから、その出…
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なくなるときはなくなる
久し振りに、開発部長がカンカンです。えっ、いつもじゃないかって? はは、そう言いなさんなヨ。今回の“お怒り”は、深刻なんですから。「次郎さんよ、あの商品、もうすぐなくなるよナァ。絶対になくなる。ナァそうだろう?」。実は、我が社の稼ぎ頭、いえ、屋台骨を支えてきた商品が、もうすぐなくなるんです。そりゃ…
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審査会の楽屋ウラ
中小企業の開発費を助成する補助金の審査員、何でアタシがと思ったんですが、お役所のご担当から直接のご指名だそうで、会社を通じて引き受けることになりました。えっ、ヒマだから? ヤレヤレ、お局みたいなこと言いなさんナヨ。それで、何事も経験てェ事なんですが、チョットひど過ぎますゼェ、先生方…。
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失敗の責任
会社が大きくなるてェと、社長と社員の距離、段々、遠くなって行くような、そんな気がしますナ。当然、会社が大きくなれば社員も増え、組織も大きくなり、役割や分担、つまり、組織や部門の職務分掌も複雑になって行くのは仕方ありませんヤネ。連れて、権限や責任の明確化、それを細かく決めることも大切です。それは分か…
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自分の足で買いに行け
ライバル社の新商品、悔しいですがナカナカの評判です。開発の現場の第一線から退いたアタシに直接は関係なくても、気になるのはしょうがありませんヤネ。売ってるお店を探して買いに出掛けることになりました。一人で行くのもいいのですが、たまには若い者を誘って、帰りに赤提灯でノミニケーションと、アスパラに声を掛…
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出戻り御免の転職制度
開発部長が、浮かないような、嬉しいような、変な顔をしています。「どうしたんだィ、部長。変な顔して。一体、何を悩んでるんだィ?」。長い付き合いですから、部長の異変、すぐに分かるのですナ。でも今度ばかりは、困っているのか笑っているのか、変な顔の原因が分かりません。
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ブレーキはもう要らない
新商品や新事業の開発について、アタシの会社は定期的にテーマの選定や見直しをするのがキマリになっています。が、誰とは言いませんヨ、誰とは言いませんが、決まって反対する役員がいるから、困ったもんですナ。この間の役員会でもこんなことが…。
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ご褒美
久し振りのヒット商品。こちらも久し振りの、社長の上機嫌。やはり、メーカーてェのはヒット商品がなくちゃァいけませんヤネ。ものづくりの成果は、売れたかどうか、それが一番ですナ。アタシも怒鳴られることが少なくなって、お酒もおいしく飲めるてェわけですョ。
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内なる消耗戦
会社てェのは大変ですナ。とにかく、外に打って出る前に、会社の中の調整、稟議とも言いますが、偉いシトに分かって貰わなくちゃあいけない。これが大変な作業なんです。この間もこんなことがありました。ある会社と事業提携をしようということになり、担当課長から上、つまり、部長から役員へと稟議を上げていったんです…
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ハイテクより「最テク」
社長が出る会議てェのは苦手ですナ。たまには楽しい話をしてくれてもいいじゃァねェか、そう思うのはアタシだけじゃありません。今日の会議も案の定、「何で、うちの技術はハイテクじゃないんだ!」、最初からオカンムリ状態です。「ライバルがハイテクで突っ走っているのに、うちがローテクのままでは、ええっ、これから…
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手配師
最近、開発部長がよく来ます。「次郎さん、今どきの若いもんてェのは、手配師になっちまったようだ」。「おいおい、手配師てェのは聞こえが悪いぜ、一体、どういう事だい」。
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新聞は自分で買って読め
新聞を読まない人が増えたとか。そう言えば、通勤電車で新聞を読んでる人が少数派になっちまったような感じです。若い時から、業界紙や経済新聞を当り前に読んできたアタシとしては、まァ、余計なお世話かもしれないが、読んだ方がいいに決まっているし、むしろ、ビジネスマンなら読むのも仕事と思わなくっちゃ。そう言っ…
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格付け会社
うちの社長、最近、イライラして落ち着きがありません。原因は分かっていて、例の、格付け会社のセイですョ。今どき、どの会社も業績が落ちているのは当り前。それなのに、うちの格付けが一つ落ちたんですナ。困ったもんです、社長もイライラ八つ当たり、被害者が増え続けているてェ事態です。とうとう,アタシにも火の粉…
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社長の謝り方
メーカーてェのは大変ですナ。クレーム、つまり商品の不具合や欠陥なんざァ、ない方がいいに決まってますわねェ。ところが、いろいろな商品を造って売っている以上、神様じゃないんだから、万が一、たまに発生するのはしょうがないてェもんですよ。新聞やテレビ報道なんぞをよく見ていると、毎日のように、クレームやリコ…
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止めるルールがない
アポなしで、後任の開発部長が訪ねて来て曰く。「次郎さん、今度の開発、絶対ダメってことが分かったんだが、止められないんだ」。始めのうちは、成功を確信していた開発テーマだったらしいのですが、ライバル会社がそれ以上の新商品を開発し、もう、すぐにも発売するそうな。で、開発の責任者としては、分かり切った負け…
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先輩の酒は飲め
最近、飲み会に先輩が誘っても、アッサリと断る後輩が多いとか。そう聞いて、何を言ってやんでェ、強引に連れて行けばいいじゃないか。そう言ったら、それがパワハラなんだとか。ねェ、イヤなご時世じゃありませんか。先輩が誘っているのに断るなんて、アタシの若い頃なんざァ、先輩命令は社長命令よりも重いてェもんです…