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図1●台湾のデジタル・スチル・カメラ出荷台数推移(2007年第1四半期〜2009年第2四半期実績,2009年第3四半期〜2010年第2四半期予測)。出所:台湾Market Intelligence & Consulting Institute(MIC),(2009年8月)。
図1●台湾のデジタル・スチル・カメラ出荷台数推移(2007年第1四半期〜2009年第2四半期実績,2009年第3四半期〜2010年第2四半期予測)。出所:台湾Market Intelligence & Consulting Institute(MIC),(2009年8月)。
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 日米欧などの主要市場が飽和に近付いていることや,金融危機が引き起こした世界的な景気後退による影響を受け,2008年第4四半期にデジタル・カメラ流通業者が抱えた在庫問題は2009年も尾を引き,結果的にデジカメ・ブランド・メーカーの第1,第2四半期における出荷台数は,対前年同期比で2割から3割減となった。しかし,在庫の解消や下期の需要旺盛期の到来に伴い,第3四半期の出荷台数は,対第2四半期比で大幅な回復が予想される。

 第4四半期については,このクリスマス商戦を中心とした需要旺盛期の商機をうまく生かせるかどうかにかかっている。ただ,GDPや消費者信頼感指数,失業率,個人の収支状況などの指標から需要動向を見る限り,成熟市場の年末景気は依然として不透明ではある。これに対し,新興国市場の景気は一足先に好転すると思われる。ブランド・メーカーのうち,韓国サムスン電子,ニコン,富士フイルムの3社は,2009年の出荷台数が前年より増加すると予測しているが,その他の多くのメーカーは,出荷台数が減少するという第1四半期時点での見方を変えていない。2009年における世界のデジカメ市場の規模は,2008年の1億2300万台から1億1700万台へ,つまり対前年比で5%減となり,初めてのマイナス成長となる見通しである。

第3四半期が台湾メーカーの出荷ピーク

 ブランド・メーカーの2009年第1,第2四半期における出荷台数減少の影響で,2009年第1四半期における台湾メーカーの出荷台数も大幅に後退した。第2四半期の出荷台数は,流通業者の在庫が徐々に解消されたことにより,対前期比で32.9%増の869万5000台となったが,前年同期からは21.9%減だった。下期の需要旺盛期の到来,および日本のブランド・メーカーからの新規発注分の出荷が7月から開始されたため,第3四半期は台湾メーカーの出荷ピークとなり,その出荷台数は対前期比で110.9%増,対前年同期比で26.2%増の1833万3000台となる見通しである。2009年下期における台湾メーカーのデジカメ出荷台数は大幅に増加し,上期の2倍強,対前年同期比で14.6%増の3161万5000台となる見込みである。

 ブランド・メーカーは,今後デジカメ市場の成長をけん引する原動力が日米欧市場から新興国市場にシフトすると見ているため,2009年上期には,ミドルクラス,ローエンド製品を積極的にラインアップし,その価格帯を下げてきた。これに景気後退によるミドルクラス,ハイエンド機種の急速な値下げが加わり,ブランド・メーカーの第1,第2四半期における製品の平均出荷価格は大幅に下落し,対前年同期比で10~15%減となった。これを受け,台湾メーカーの出荷製品の平均出荷価格も下落したが,その幅は相対的に小さく,5~10%減程度にとどまった。その要因としては,もともと台湾メーカーはミドルクラス,ローエンド機種のOEM生産が中心であることや,出荷製品の中心価格帯が50~100米ドルである台湾メーカーにあって,そのOEM生産量に占める100~150米ドル機種の割合がわずかに増加していることなどが考えられる。2009年第2四半期における台湾メーカーのデジカメ生産総額は,対前期比で27.8%増,対前年同期比では30.4%減の5億4800万米ドルとなった。

金融危機で日本メーカーの発注増える

 2010年における世界のデジカメ市場は,成熟市場,新興国市場ともに需要が回復するだろう。加えて,ブランド・メーカーが積極的に新機能搭載の機種を投入し需要喚起に努めるため,全体出荷台数は1億2400万台,対2009年比で6%の成長となることが予想される。この数字は2008年をも上回るものである。また,今回の金融危機は,日本メーカーの委託生産比率の増加を促し,台湾メーカーは第3四半期からその恩恵を受けている。2010年以降も日本メーカーは引き続き生産を外部に委託し,主要な台湾メーカーの出荷台数は増加すると思われる。ただし,ブランド・メーカーが積極的に新興国市場での展開を図ることで,製品の低価格化が進み,台湾系流通ブランド・メーカーの生存余地を圧迫するだろう。これを考えると,2010年の世界デジカメ出荷台数における台湾メーカーのシェアは40%から43%へとわずかな増加にとどまることが予測される。