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 明けましておめでとうございます。もっとも,「何がめでたい。ちっともめでたくない」というお叱りも聞こえてくる。一休和尚は,「門松は冥土の旅の一里塚めでたくもありめでたくもなし」と詠んだと伝えられている。

 このコラムも足掛け4年.最近は毎月の更新を心がけている。お陰さまで編集者からは稀有な例とお褒めの言葉を頂戴している。内容ではなく,頻度で褒められるのはいささか居心地が悪い。読者諸氏はもっともストレートで,私の戯言を非難2,お褒め1,残りは無視という割合である.「残りは7か?」という問い合わせがあるかもしれないが,残りは読んでいただけない方も含むので7か1か,それとも10か千か私も分からない。まあ,カクテルのレシピのようなもので,足して10にならないところが味である.

 年の初めに戯言を重ねているのは,コラムを書く人間にも迷いがあるからである。読者は多様である。右と言っても,左の方もいる。もちろん,左と言っても右の人がいる。だからと言って,「右も左もある」と言ってはコラムにならない。お褒め半分,非難半分ぐらいが素晴らしいコラムであり,お褒め一色というのはまずい。非難一色は私も含め多くのコラムニストにとって悪夢だろう。

 簡単に言えば,なんとでもいえる。「他社と同じものを作るな」と言って,別な道を探すように勧めるのもコラムなら,「他社と同じものを作れ」と言って売れ筋を追及するのもコラムである。もちろん,時代を読んで「作るな」か「作れ」を選択する。しかし,時代を外した所に成功の鍵が転がっている。「人の話は聞け」または「人の話は聞くな」である。かようにコラムニストはいい加減である。サイコロを振って今月のお題を決めてもよい。

 サイコロ一つで右にも左にもなるとは,コラムニストは屁理屈屋である。こう主張すると,非難一色。味方と勝手に信じているコラムニストからも非難を受けてしまう。しかし,屁理屈でも理屈である。筋は通っていなくてもならない。これがコラムとして成立する最低線であろう。次に,屁がつくかつかないかである。それは,戦略,または実行がともなうかどうかである。いわゆるPDCA(Plan,Do,Check,Action)が回せているかどうかである。

 母親に勉強するように言われた息子が,「今,勉強するつもりだったのに」,「そんなことを言われた勉強する気が失せた」という。そして,この理屈を通して勉強しなければ屁理屈である。逆に,母親に言われる前に勉強を始めるようになったら,これは立派な理屈である。PDCAが回ったことになる。

 「他社と同じものを作るな」,「他社と同じものを作れ」,相反する指摘であるが,それが理屈と言われて尊ばれるか否かは,一重にPDCAにかかっている。言い逃れでなく,前向きにとらえられれば「人と同じものを作る」道を選択した企業は,それなりの施策が必要となる。他企業よりも安く,または早く同じものを作るスキルが求められる。逆に,「人と違うものを作る」道を選択した企業も施策が求められる。多様な商品企画を溢れさせ,そして,それを速やかに商品としていくプロセスの確立である。そして,他社と違うものを販売,流通のプロセスに持っていくことも必要である。

 「Tech On!」のコラム.いろいろなご意見がうかがえる。本年もご愛顧いただきたい。同時に,読みたいコラムだけでなく,読みたくないコラムにも目をお通し願いたい。そこに,読者諸氏という言葉でくくれない個人の方が今読まなければならない言葉が埋もれているかもしれない。そうだ.多様な読者諸氏が読む必要があるときに目に留まるコラムを書いていきたい。皆様の本年のご多幸をお祈りします。