PR

民主党公開会社法プロジェクトチームの経緯と展望

 株式を市場に公開することは英語で“Go Public”という。株式の公開とは、それだけ利害関係人を生じさせるものであるということだ。そうした点を重視し、民主党は、株式を公開している会社のルールを整理した「公開会社法(仮称)」の制定を目指し、財務金融部門と経済産業部門とを主要メンバーとするプロジェクトチームを立ち上げた。東証、日本経団連、連合、社外取締役の支援団体、外国投資会社等から、2年以上にわたり計17回のヒアリングを行った(ただし、新興企業は入っていない)。折しも、その時期に「サブプライムローン問題」が発生し、米国英国のアングロサクソン型システムは、企業統治として先進的とは言い切れないことも明らかになった。

 なお、マネーゲームでない健全な株式市場構築のためには、透明で公正なルールづくりが必要とされており、市場参加者に対する規制や会計制度などの分野における適切な規制については、別途検討を行うこととなっている。

公開会社をめぐる現行法制の主な問題点

 現行法制の主な問題点につき、3点述べさせていただきたい。

 まず第一に、会社法(裁判規範)と金融商品取引法(行政規範)が並立しており、混乱を招いていることを挙げたい。両法における情報開示や会計のあり方の棲み分けが不明確となっていることから生じている。たとえば、決算公告、財務諸表、会計監査、新株発行手続、公開買付など、会社法と金融商品取引法との間で異なる手続きが存在することだ。

 第二に、適正な企業統治を実現するシステムが担保されていないことだ。箇条書きでポイントを挙げると以下のようになる。

(1)企業統治のあり方が、狙った水準に達していない。
・社外取締役制度の狙いが達成されていない。
・監査役が有効に機能していない。経営陣になれなかった人が監査役になるようなことがあれば、経営陣に対する牽制にはならない。このことは、会計監査への経営陣の影響が強いことにも表れている。また、経営陣が監査役の報酬を決めるようでは適正な監査ができるわけもない。
(2)従業員の意見を反映する仕組みがない。
・会社法では、清算時以外は従業員の意見を聞かなくてよい注)

注)マスコミではこの点が大きく取り上げられ、「公開会社法=労組の権限向上」と書かれている。私は「被雇用者というステイクホルダーがガバナンスに参加する」という点で大きな意味があると考えている。

(3)M&A法制が整備されていない。
・企業買収者に対する「全部買付義務」や「企業経営方針の明示義務」がない。

 第三に、企業集団の取り扱いが明確ではないことが挙げられる。ここでもまた、金融商品取引法と会社法で、企業集団の取り扱いに違いがある。さらに、親会社の子会社に対する責任が明確に定められていない。親会社の株主や取締役は子会社の意思決定・業務執行に絶大な権限をもつはずだが、その程度が明らかではない。親会社子会社は企業集団として事実上一体であるはずなのに、損害賠償や株主代表訴訟が分断されているという問題もある。

公開会社法でどのように変わるか?

 公開会社法の最も大きなポイントは、公開会社に適用される手続きを法令で明確に定めることで、実務に役立てる、ということだ。会社法と金融商品取引法の狭間で不明確になっている点を,公開会社法で適切に規定する。