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 どのような要因が考えられるだろうか。一つは、前々回のコラムでも触れたように、税制や償却制度などの制度面で日本メーカーは戦う前からハンデがあるということがある。さらに言えば、果たして政府の成長戦略や政策が製造業の国際競争力を向上する方向に向いているのか、ということも問われなければならないだろう。

 そうした外部要因に加えて思ったのは、内部要因として、日本メーカーはひょっとして、過去の成功体験としてのリニアモデルに囚われている、またはトラウマのようなものがあるのではないか、ということである。

 リニアモデルとは、科学(サイエンス)→工学(エンジニアリング)→産業(インダストリー)と直線的に事業化するモデルではあるが、以前のコラムでも書いたように、欧米では自社内の中央研究所で生まれた科学的発見を基に製品化していたために自前主義の傾向が強かった。しかし、本来リニアモデルは自社内だけに閉じたものではなく、日本企業は,基礎研究が必要なサイエンスの部分は欧米に依存して,その次工程であるエンジニアリングのところに注力できたからうまくキャッチアップできた。

 ところが、日本メーカーの攻勢によって大打撃を受けた米国メーカーから「基礎研究の部分はただ乗りしている」と批判され,その負い目をその後も長く背負うことになってしまった。基礎研究を行う余裕のなくなった米国メーカーはこうして、短期的にすぐにお金になる分野に投資した結果、全体としてマーケット志向になっていったが、一方で,日本メーカーはいつ実用化するか分からない基礎研究に注力することになった(以前のコラム)。

 日本メーカーは、今度は韓国メーカーにキャッチアップされる立場に逆転したが、そうした状況になっても過去の負い目を引きずり、自前主義的なリニアモデルに固執する傾向を無意識的に持っている、ということが考えられないだろうか。

 これに対して、韓国メーカーはキャッチアップモデルの「王道」を突き進んでいる、ということなのかもしれない。