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「ものづくり日本」が終焉を迎える?

 サスティナビリティへの対応いかんでは、筆者は日本の産業、特に基幹産業であるものづくり産業が終焉を迎えてしまうと憂慮しています。自動車、エレクトロニクス、機械をはじめとするものづくり産業は、原材料が入ってこなければ、ラインが空いていても稼動させることができません。同時に、これからブロードバンドが社会の前提条件となることで、「モノ+サービス」という変化も待ち受けています。

 このように,サスティナビリティは、ものづくり産業と特に密接にかかわっているのです。だからこそ、これから世の中でおこるであろうことをお伝えし、これをきっかけに日本の産業や企業が何をすべきかを真剣に考え、活発に議論していただきたいと考えています。

 サスティナビリティは、日本語では「持続可能性」と訳される概念です。しかし、今のところ具体的な内容や意味は人によって捉え方がバラバラであり、残念ながら本質が見えづらくなっている状況です。よく「サスティナビリティ=環境問題」と誤解されますが、両者は似て非なるものだということを最初に理解しておく必要があります。

 現在、いわゆる「環境問題」への取り組みが世界規模で積極的に進められています。そのなかでも「地球温暖化対策」だけが大きく取り上げられ、CO2削減のための様々な対応や排出量取引という形で、実生活にも少なからず影響が出てきました。しかし環境の問題はそればかりではなく、ほかにも大気汚染や水質汚染、廃棄物の最終処理場の不足といった緊急度の高い課題が数多くあります。地球温暖化はそのなかのごく一部でしかなく、しかも100年先の地球をシミュレートして案じているに過ぎません。

 本来のサスティナビリティは、「地球の物理的限界」への対応であり、資源やエネルギーなどをも含めて考えていかなければならないものです。環境問題は、サスティナビリティに包括される一断面ですが、それだけが全てではありません。サスティナビリティは、今後のビジネスを考えるうえで非常に重要な、価値観の基礎となる概念なのです。

 本稿では、さらに2回にわたってサスティナビリティについて解説し、ビジネスに今後どのような影響を与えるかを明らかにしていきます。次回のテーマは、「資源ナショナリズムの到来」の予定です。

田中 栄 (たなか さかえ)
アクアビット 代表取締役 チーフ・ビジネスプランナー
1990年、早稲田大学政治経済学部卒業。同年CSK入社、社長室所属。CSKグループ会長・故・大川功氏の下で事業計画の策定、業績評価など、実践的な経営管理を学ぶ。1993年マイクロソフト入社。WordおよびOfficeのマーケティング戦略を担当。1998年ビジネスプランナーとして日本法人の事業計画立案を統括。2002年12月に同社を退社後、2003年2月アクアビットを設立し、代表取締役に就任。主な著書「未来予測レポート2010-2025(全産業編)」「未来予測レポート デジタル産業2007-2020」「未来予測レポート2008-2020食の未来編」「未来予測レポート 自動車産業 2009-2025」(日経BP社)など。北海道札幌市出身、1966年生まれ。