最近、アタシ、一番腹が立ったのは、「部署が違う」、この言葉ですヨ。そうじゃありませんか、せっかく、ある提案を持っていったのに、「う~ん、そのようなご提案の話、こちらは部署が違うので、今度は、分かる部署の担当者に、改めて、説明して欲しいのですが」。
「そうですか、では改めて出直しますので、どうぞ宜しくお願いします」。そう言って帰ってきたんですが、「部署が違うゥ? 冗談じゃァありません! この提案、そちらの会社がもっと良くなる話をしようってェのに、部署が違う? じゃァ、話の分かる部署はどこか、それを教えてくださいな。何なら、社長に会わせてください!」。思わず心の中で叫んでしまいましたヨ。
のっけから、過激な物言いで申し訳ありませんが、大きい会社でよく聞く言葉、この、部署が違う、かなり問題だと思うのです。
せめて、「私は面白いと思うし、興味もあるのですが、どうも、そのようなお話を担当する部署がありません。私の判断ではいかんともできませんし、権限もありません。しかし、このご提案に対して何らかのご返事ができる者を探してみますので、少々、お時間をいただきたいのですが…」。そのくらいは言って欲しいじゃありませんか。
確かに、アタシたちの提案なんざァ、大したことァないかもしれませんヨ。でも、こちとらのキモチ、そこを汲み取ってくれる、向き合う姿勢っていうか、受け取るキモチって、大事じゃァありませんかねェ。
そもそも、我が社が良かれと思って提案していること、他意なんざァありませんヤ。お取引先だし、そこが良くなればウチだって良くなる。そんな善意、とにかく、良くなろうてェ、前向きなキモチなんですヨ。
紋切り型の国会答弁じゃァあるまいし、何でもかんでも、担当部署しか扱えない。で、その扱い部署がないんじゃァ、それでおしまいてェことでしょうが。一体、こんなことで消えていった、いい話、世の中にどれほどあるんでしょうかねェ。
何も考えずに、バケツリレー的業務処理というか、せっかくの提案を部署が違うと言って"ゴミ箱"に回して捨ててしまう。それ、損失ですヨ!
しかし、よく考えるてェと、当り前と言えば当り前ですが、そもそも部署てェもんは、業務としてハッキリ見えるコトをこなすためにあるわけで、よく分からない、あるいは曖昧なコトを業務として扱う、その設定がないんですナ。
だったら、「部署が違う」ことがないように、よく分からないコトや曖昧なコトが、外部から情報として入ってきたとき、「社外からのご提案受付部」とか、「面白そうだが、既存部署では判断できない社長直轄案件部」(ちょっと長いか)とか、そんな部署があってもいいかもしれませんヤネ。どこかのお役所だって、「すぐやる課」をつくって、住民の要望にすぐ応える、そんな新しい部署をつくった自治体もあったじゃァありませんか。
収まらないから、いつもの赤提灯。こちとらの愚痴を聞いてもらうんですから、二人を誘って、もちろん、アタシのおごりです。
「なァ、俺のハラが収まらないの、分かるだろう。冗談じゃあないゼェ、部署が違うって、それが分かってるんなら、じゃあ、端(はな)から、その部署を教えてくれヨ。ナァ、そういうもんだろうが! もしもないなら、ないと言ってくれればそれで済む話じゃァないか。そして、本当に検討する部署がないんなら、新しい部署をつくろうヨ、ええっ、そういうことじゃァねェか」。
部長にも経験があるようで、「それそれ、いつだったか、こっちの提案に対して『じゃあ、購買を呼びますから』って、ひでェ話だったゼェ。それで、出てきた購買も、『いやあ、提案事項は、私の部署では扱えません』だと。当ったり前じゃあねェか、購買に、そんな判断ができるわけァないのに、外からの話は、何でもかんでも購買に回すなんざァ、ええっ、何を考えてるんでェ!」。
またまた、言葉遣いが悪くなってしまいましたが、やっぱり、合点が行きませんヤネ。いい提案があるのに、それを受け取る部署がない。あるいは、どこの部署で扱うか、その判断、部署が違うと、それだけで、誰にもできない。一体、部署てェもの、何のためにあるのか分からなくなっちまいましたヨ。
「変よねェ、部署が違うと、全然、話がつながらないし、ましてや、外からの情報なんてどこの部署に持っていくかも分からない。あっ、そうだ、いっそのこと、どこの部署に持っていくか決める部署、それをつくればいいのよ、ネ」。お局が、分かったような、分からないような話をします。
挙句、部長までも、「そうそう、その前に、これは役立つ情報か、そうでない情報か、そのコトを判断する部署を決めて、その指示に従って、担当部署に振る部署があり、念のために、その部署がちゃんとやってるか、チェックする部署をつくればいいんだよナァ」。「ダメダメ、その部署でもチェックできないかもしれないので、念には念を入れて、その上に部署をつくって…」。飲むほどに酔うほどに、こうして、夜は更けて行くのでした…。あ~あ。