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千葉氏 「サウジアラビアの石油王はほんの一握りの人たちで,それを支える労働者は近隣各国からの出稼ぎによって成り立っているんです。しかし労働者と言っても技術があるわけではないので技術教育が必要となる。例えば石油王が世界有数の高級車を購入したとしても,故障したら修理する技術職人がいないため困ってしまうという現状なんですね。

 私が日本はものづくりだと確信したのは,サウジアラビアに出店したトヨタ自動車のサービスセンターの活躍ぶりを見てからなんです。世界には優秀なクルマは作るが,売った後はおかまいなしの自動車メーカーが多い。しかしトヨタの看板がでている店では,最後まで責任を持ってきちんとした修理点検をすることを怠らない。その姿勢が立派でしたね。当然それは,現地のユーザーの絶大な評価と信頼感につながっています。日本は誠意がある国だと,国民の間には好感度が広がっているんです。地球の裏側の国でがんばっているクルマの修理技術者を見て,日本人としての誇りを感じた瞬間でしたよ。」

 実際に世界の裏側で見た日本を,千葉氏はこのような言葉で語ってくれた。

千葉氏 「日本政府が取りもってくれたおかげもあって,自動車整備技術の教育カリキュラムをサウジアラビアの学校が採用してくれましてね。現地の学校で自動車整備技術者を育成する教育プログラムが始まることになったのです。いまや日本で培われた自動車技術は,我々があまり縁がなかった国々で役立っているんです。今後は世界で急速に発展する国々からの技術教材の引き合いが増えると思いますよ。」

 世界に出る教育ビジョンを,このように語ってくれた。

和服が呼び寄せた国際ビジネス

千葉氏 「当初はサウジアラビアとは無縁で右も左もわからない状況だったのですが,ひょんなことで急展開したんです。というのも初日に歓迎パーティーが催されるというので,シャレで日本の着物を着て乗り込んでみたんです。恥ずかしかったんですが。そうしたら思いもよらぬ歓待を受けましてね。サウジアラビアの有識者からスタンディングオベレーションで迎えられ,王様のような一番偉い人が座る玉座の隣の席に座らしてくれたんです。これはキッシンジャーに次ぐ二人目の栄誉なんだそうですよ(笑)。自分の生まれ育った民族文化を大切にする人は信用できます,と言ってくれたんです。嬉しかったですね。」

着物姿で歓待を受ける
着物姿で歓待を受ける

 それは一瞬にして違う民族同士が打ち解ける瞬間だったそうだ。その後ビジネスの話はトントン拍子に進んだという。古来から国際ビジネスとはこうして生まれてきたたものだし,それがおもしろくて海外に夢を求めて単身乗り込んでいった日本の若きビジネスマンがいた時代もあった。今はその醍醐味を忘れかけているように思えるのは小生だけだろうか。