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 小生の場合、解ければ自分には時代を打開するための思考力はある、解けなければその能力はない、解答できたら勝ち、がまんできずに答えを見てしまえば負け、と決めて、決死の覚悟でアタック、なんとかその日のうちに解答をねじり出した。

 その安堵と爽快感はいうまでもない。そして、恵藤氏はこうした達成感を体験することがとても重要で、現在の教育にはこれが足りないと警鐘を鳴らすのだ。

恵藤氏の講義に必死に耳を傾ける筆者

 さて読者の皆さんは、自力で解答を得られたと仮定して話をすすめよう。

 この文章を読む人には三種類いる
(1)問題を解こうともせずにそのまま読み進んだ
(2)いろいろな理由であきらめた
(3)解答できた

 Wikipediaには答えがある。証明を図解アニメでわかりやすく解説しているので見れば「なーんだ」となるはずだ。

 しかし「どうすりゃいいんだ」を解決する能力を磨くには、問題を自分で何時間も何日も考え抜いて自力で答えを見いださなくてはならない。試しに二人の学生に協力してもらい、A君には答えを見せ、B君には自分で正解が出るまで考えさせた。そして10日経った後に、再びA君とB君に同じ三平方の定理の出題をしたところ、A君は答えられずにギブアップ、B君はテーブルナプキンとペンを使って図形を描き、楽しそうに解説した。さらに「他にも証明する方法はある」というと即その場で思考し始めた。

 解答のヒントは“四角形と三角形の回転にある”のだが答えは幾通りもある。(1)相似を用いた証明(2)正方形を用いた証明(3)幾何学を用いた証明などであるが、恵藤さんはこの証明問題を愛用の三角定規とコンパスを使って解説してくれた。

 「これは人類最大の発明です。模型を見ながら問題を解くとわかりやすいが、その模型はこの三角定規とコンパスがあればたいていのものが作り出せるんです」。