PR

「研究開発から利用へ」が、宇宙政策の大きな方向性

 宇宙基本法が成立して、すでに2年半が過ぎようとしている。本法の策定に関与した私の一番の思いは、宇宙政策を「研究開発から利用」にまで広げることにある。

世界の宇宙関連産業の市場規模
出典:State of the Satellite Industry Report, June 2010, Futron Corporaton

 上図にあるように、世界の宇宙関連産業の市場は、過去5年間で毎年平均14%の勢いで成長しており、今や15兆円規模のマーケットとなっている。そして、今後も、宇宙新興国を中心に、更なる成長が期待されている。

 この宇宙関連産業を育成するために、宇宙基本法には「宇宙開発」ではなく「宇宙開発利用」と宇宙の利用を明確に打ち出しているのである。

このデータは文部科学省も使用している。

出典:文部省平成22年度予算要望資料

宇宙産業育成のための宇宙戦略を!

 しかしながら、基本法に書かれたようにはわが国の宇宙政策は進んでいない。一番大きなポイントである「宇宙政策の戦略」がないことである。特に、成長市場の獲得による我が国の経済成長の実現に向け、宇宙新興国に我が国の優れた宇宙技術をより積極的に展開するための新たな戦略が必要である。が、まだ戦略といわれるものが策定されたとは言えない状況にある。

 ここで注意すべきは宇宙新興国におけるUpstreamは全くの低空飛行であり、この分野を伸ばそうとすれば、ODA等他の経済貢献を駆使する必要が出てくるということだ。そうなると事は簡単ではない。