宇宙産業の内訳は下図のようになる。右肩上がり(毎年平均14%増)に貢献している宇宙関連産業はTVやラジオなどの衛星放送サービス及びGPS関連サービスとこれらに関連する消費者用機器の販売である。地球観測の規模は小さく、ほとんど横ばいである。さらにそのなかでも官需・軍需が牽引しており、純粋な民需は通信・放送衛星くらいでありほとんど成熟してはいない。


わが国の宇宙政策を見ると未だ「ロケットの打ち上げ」に焦点を合わせているといわざるを得ない。それも世界の宇宙開発の牽引役は5トン級衛星(官需・軍需)と小型化に進む中で対応が遅れているのではないかとの懸念もある。
宇宙政策を統合的に進める組織を設置すべき
また、政府の体制にしても、(1)利用省庁が資金を出し合い実用システムを整備、(2)文科省・JAXA、経産省等が開発、(3)政府全体を宇宙本部で調整、という役割分担をしているが、宇宙システム開発・実用化は、それ自体が、「事業」であり、細部にわたる、機動的、戦略的、継続的な推進が重要である。各省間の政策調整(方針を調整し、実行は各省の裁量に委ねる)により行えるような性格のようなものではない。やはり宇宙政策を統合的に進める組織、つまり「宇宙庁」が必要である。
宇宙の実用システムは、一度整備すればよいというものではなく、ユーザーのニーズ、技術の進歩などを踏まえながら、戦略的・継続的にバージョンアップを通じて高度化していく必要である。実用化に責任を持つ組織が責任を持って開発をしないと、機能・コストなどの面で、世界に勝てる、宇宙システムを開発できないのである。
また、統合的な組織がなければ、実用システム整備と開発の間の資金・人材の最適な資源配分を行うことが出来ない(衛星にどの位の寿命を持たせ、何年ごとにバージョンアップするか、衛星と利用システムの間の資源配分をどうするかなど)と戦略を創ったとしてもそれを実行することができなくなる。
要するに、宇宙システム開発・実用化は、「国家による事業」であり、細部にわたる、機動的、戦略的な推進が重要。各省間の政策調整(方針を調整し、実行は各省の裁量に委ねる)により行えるような性格のようなものではない
最後に
思い起こせば宇宙基本法は超党派で苦労をして作ったものである。その想いの実現を図って行くべく、フォローアップにひきつづき全力を尽くしたい。
そのためにも定常する政府組織「宇宙庁」が必要だと私は考えている。当然、組織を作るだけでは仏作って魂入れず、だ。ミッション創出能力(市場調査など調査分析能力含む)と予算の裏付け確保を定常組織化することは必須だ。そしてそのなかの人材の質を上げなくてはならないが、JAXA、文部科学省、宇宙本部などに宇宙政策を協力に進める人材がおられると確信している。