私は現在、民主党「成長戦略経済対策プロジェクトチーム(PT)」のメンバーとして経済成長政策を担当している。この新成長戦略のキーポイントは、「強い経済」「強い財政」「強い社会保障」を好循環させることである。そして、この概念の下に6月18日に閣議決定された新成長戦略には、大きく三つの視点から、七つの戦略分野と経済成長に特に貢献度が高いとされる21の国家戦略プロジェクトが掲げられている。
新成長戦略は、上図のように、(1)グリーン・イノベーション(環境・エネルギー)、(2)ライフ・イノベーション(健康:医療・介護)、(3)アジア、(4)観光・地域、(5)科学・技術・情報通信、(6)雇用・人材、(7)金融――といった7分野の個別プロジェクトの積み上げでGDPを名目で3%、実質で2%成長させることを目標にしている。また、環境、健康、アジア、観光の4分野の合計で500万人の雇用と123兆円の需要を創出することを目標に掲げた。
もっと整理ができないか?
正直なところ、私はこの新成長戦略は色々な政策を取り込みすぎて、理解しにくくなっていると見ている。もっと整理できるのである。下図は色々な成長政策を「内需/外需」、「サプライサイド/デマンドサイド」で取捨選択・分類したもので、これはエコノミストである熊谷亮丸氏の資料を参考にしている。

基本的な政策は新成長戦略と同じであるが、「内需重視か外需重視か」、「サプライサイド経済政策か、デマンドサイド経済政策か」というような、いずれを重視するかという議論ではなく、すべてのできる政策を行うことを強調している。「できることをすべて行う」、この点が新成長戦略の最大のポイントではないかと考えている。
内需も外需もターゲットにすべき
よく「民主党の経済政策は内需中心だ」との指摘を受けるがそれはすでに変わっている。例えば、新成長戦略には「ベトナムへの原発の売込みなどわが国の社会インフラの海外展開」が入っており、まさに外需を取り込んでいる。また、外国人患者の日本への受け入れや観光振興による訪日外国人を増やす政策も外需による経済成長政策である。
私もわが国の経済成長を加速するには、「イノベーションを進め、世界中で日本しか作れない製品とサービスを作り出し、それを世界市場に展開する」というモデルを確立するしか道はないと考えている。