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新成長戦略が注目を浴びないのはなぜか?

 新成長戦略は、今までの経済成長戦略よりまとまっており、また、菅総理が戦略担当大臣時代に作成したものであるため、菅総理の指導により実行に向けて動いているが、世間からはあまり注目を集めていない。

 なぜ注目されないのか?その理由を考えてみたが、

(1)ひとつに、あまりに多くの政策を書き込んでしまったこと。
(2)次に、この10年間になんと「9つの経済成長戦略」が打ち出されたこと。
(3)そして、もっとも大きいのが「分かりやすい目標(ゴール)がない」こと。

の三点があると考える。特に「ターゲットがない」ことは大きな課題である。以下のように、新成長戦略の目標として「名目成長率3%、実質成長率2%を上回る」と掲げているが、これでは国民には理解できない。

新成長戦略の目標
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 例えば、3%成長を10年続けた場合、500兆円のGDPは671兆円になるが、1%成長の場合は552兆円となる。小さな成長率の違いが10年でなんと3倍以上の経済成長(1%で52兆円、3%で171兆円)の違いとなる。このことが伝えられていない。ちなみに5%成長を10年間続けることができれば、GDPは815兆円となる。

日本経済の成長力と政策対応の基本的考え方
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まずはゴールの設定を

 「戦略策定にはゴールが必要」である。戦略はゴールに到達するための道筋を示すものである。つまり、初めに戦略ありではなく、ゴールがまずあり、ゴールにあわせて戦略が作られることになる。ゴールが明確でない戦略は、戦略ではない。

 『孫子兵法』の「始計篇」では、戦いに必要な五事を「道」、「天」、「地」、「将」、「法」としている。そのうち「道」に関しては

道トハ、民ヲシテ上ト意ヲ同ジクセシムルコトナリ。
故ニ以ッテコレト生クベクコレト死スベクシテ、危キヲ畏レズ。

としている。

 この「道」は、「大儀」と訳されることが多いようだが、私は、戦いの目標、勝利へのロードマップ(道筋)のことを「道」としていると見ている。つまり、国民が「目標とそれに至る道筋」を理解することの重要性がトップにきているのである。この考えは、本コラムにおいてもに3年近く前に投稿しており、現在も同様に考えている。