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新日鉄と住友金属の合併は日本の産業の再編に波及?

 節分の日である2月3日夕刻、ニュースをパソコンで見ていてびっくりした。

 「新日鉄・住金 合併へ」と出ているではないか。そして、多くの記事には、巨大鉄鋼メーカー「アルセロール・ミタルの買収」への対抗か? と書かれていた。実際に2006年6月に世界最大手の鉄鋼メーカーであるミタル・スチールが第2位のアルセロールを(敵対的に)買収し、粗鋼生産量で新日鉄の3倍以上の巨大メーカー「アルセロール・ミタル」が誕生した時の衝撃は大きかった。その後、多くの日本鉄鋼メーカーは買収防衛策に走っており、鉄鋼メーカーのトップからその時の苦労談を聞かせてもらったこともある。

 しかしながら、それは合併の理由のごく一部だと私は考える。今回の合併は、設備や研究開発への投資力、3社寡占状況にある鉄鋼石メーカーとの原料価格交渉力、そして自動車メーカーなどユーザーとの価格交渉力のそれぞれが増すことが大きなメリットである。つまり、競争力が大きく向上するのである。

 そして、この合併は、電機産業などの再編に波及するのではないかと期待する。

 私は常々「国際競争力強化のためにナショナルチャンピオンを創るべき」、つまり「日本市場だけを活動の舞台とする国体選手ではなく世界で戦うオリンピック選手を創るべき」と主張している。しかしながら、企業経営者からは公正取引委員会の独禁法の運用が「国内市場を基準」に考えられているため、合併を申請しても、承認されないリスクがまだあると聞いていた(2007年に合併審査基準を改定したが現場で運用がついていかなかったようだ)。

 下図のように、他国と比較してわが国には同じ市場に数多くの企業が存在している。高度経済成長の時代であれば、成長する市場を競争して取り合うことで競争力が強化できたかもしれない。しかし、成長がない中での競争はゼロサムゲームに陥る可能性が高い。

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 ちなみに韓国は、金融危機後「ビッグディール」といわれる企業再編が行われ、国内市場において企業数が減った。このため韓国企業は、国内競争(国体)で体力を消耗せずに、最初からグローバル市場(オリンピック)で大胆でかつ迅速な投資を行い、競争に打ち勝つことができたと指摘されている。

 このような中で、私は野党時代に独禁法の担当だったので、国会審議で「消費者保護といった観点だけでなく国際競争力という観点から独禁法を運用すべき」と指摘し続けていた。この新日鉄と住金の合併は、公正取引委員会に事前に相談をしていないという。今は、政権与党にいるので、是非ともこの合併に成功してもらい、わが国の企業再編の良き前例となってもらうよう政府とともに応援していく所存だ。

 また、この国会には「産業活力再生法」の改正案が提出される。この改正により個々の企業が公正取引委員会に審査を受けるだけでなく、業界を所管する省庁(鉄鋼ならば経済産業省)が協議する仕組みが出来上がる。これも是非とも実現しなければならない。

合併でアルセロール・ミタルに伍する企業が誕生