PR

日本メーカーの危機

 「ブランド・チャイナ」は中国マーケットの現状をより正確に反映するために、調査の対象となる500のブランドを、事前に「想起調査」という形で選定していた。「想起調査」とは、ブランドを聞いて思いうかべる企業や製品を答えてもらう調査のことである。

 実はその「想起調査」の結果を分析した時、思いがけない出来事があったのだ。

 「住まい」という分野で、「日本櫻花電器」という会社がTOTOやP&Gをも抑えて、非常に高い「想起率」(社名の想起頻度)を獲得したのである。しかし、私はもちろん、周りの日本人スタッフに聞いても、誰もがその会社を知らないのだという。

 中国にいる友人に聞いたり、同社のサイトを調べたりした結果、どうも同社はキッチン用の排気扇や給湯器を製造するメーカーであるらしい。ネットで「換気扇や給湯器を製造する日本メーカー、社名にさくらか桜花か櫻花がある」で検索してみたが見つからなかった。仕方なく、購入者を装って、同社のサイトに書いてあるセールスホットラインに問い合わせてみた。

 私:「御社の製品を買いたいのですが、どうすればいいですか?」

 電話口に出た女性が、上海在住ならこの店に、と非常に丁寧に対応してくれた。

 私:「ところで、日本製ですよね?」

 女性:「いいえ、日本製ではありません。」

 私:「え?でも、ニホン櫻花電器ですよね?日本との合弁会社でしょうか?」

 女性:「いいえ。合弁会社でもありません。」

 私:「製品や部品を日本から輸入したりしているのですか?」

 女性:「そりゃ、ネジの1つ2つくらいは、日本から輸入しているかもしれませんが、製品はすべて国内で製造しています。会社は日本と関係ありません。」

 私は、お礼を述べて電話を切ったが、そこまではっきり言われると、さすがにびっくりした(隣に座っているダジャレ好きな部長はすかさず、「櫻花電器は『サクラ』だったのか」と)。

 笑い飛ばすのはいいが、ホンモノの日本メーカーの評価が低く、ニセモノの日本メーカーの評価が高い、という状況は憂うべきではないだろうか。

 「日本企業は80年代初期の頃、中国での評判が高かった。それから20数年経ち、日本企業は逆に評判を落としている。元々両国の間に複雑な歴史問題があるのに、日本企業(むしろ政府)は努力を怠ってきた。もう日本製品は欧米および中国製品に比べての優位性はなくなっている」。こう指摘したのは、技術在線(Tech-On!中文版)の読者。

 日本メーカーは中国市場において明るい未来があるのか。次回以降は、「ブランド・チャイナ」の調査結果を基に、こうした読者の声も紹介しながら、日本メーカーが中国でのブランド力向上のために、何ができるのかを探ってみようと思う。