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 このコラムの第1回目「木を見て森も見よ」では、日経BPコンサルティングが実施した、中国市場におけるブランドの評価調査「ブランド・チャイナ2011」の内容を簡単に紹介した。調査結果における日本メーカーの最高順位が、北京ではソニーの54位、上海ではキヤノンの34位と振るわなかった。日本の家電メーカーも自動車メーカーも中国市場でのブランド評価が思ったより低いことにも触れた。今回は、回答者の年代別に調査結果や評価項目別の結果を紹介しながら、80年代に中国へ進出した日本メーカーの功罪を分析する。

おさがりは、もういらない

 日本と中国の間に元々複雑な歴史問題があって、日本のブランドに対する評価が低いのは歴史や政治のせいだという考えもある。しかし、それだけではない。

 私が日本の大学院で鉄道のことを研究していた10年以上前のことだが、よく日本の車両会社を見学していた。その時のことを今も鮮明に覚えている。

 ある車両会社の担当者は、見学の最後に、ある古ぼけた車両を指してこう紹介した。

「これは、30年以上前に弊社で作られた初代の車両だ。もう日本ではすでに廃車になって役目を終えている。でも、もったいないから今度中国に転売して、中国の地下鉄で再び使うことになった。そのため今はここで整備点検作業を行っている」。

 担当者の嬉しそうな顔と周りの日本人学生の賛嘆の声を横に、私はショックのあまり、しばらくあの車両から目を離せなかった。

 決して愛国心が強いほうではないと思う。食料も衣料も計画配給という時代に生まれて、近所のお姉さんからおさがりをもらった経験もあって、古いものを受け入れられないこともない。それでも、30年前の日本の「廃車」なるものが、中国市場にさがっていくことに抵抗を感じずにはいられなかった。

 1980年代初期の頃の中国ではモノ自体が少なかったし、特にカラーテレビ、冷蔵庫や洗濯機などの家電製品に関して、日本製品は中国製品に比べて丈夫でデザインも洗練されていたこともあり、多くの中国人の憧れとなった。鉄道の車両同様、日本の家電製品も、型が多少古くても中国の市場ではひっぱりだこだった。

 しかし、今の中国では、一人っ子政策で、おさがり経験のある人が珍しいし、モノがあふれて余裕もできた。おさがりは、いよいよ限界だろう。

 「ブランド・チャイナ2011」の年代別結果を見ても、一人っ子政策以降に生まれた20代と、おさがりの経験がある世代の40代との差が一目瞭然である。表1に日本の主な家電メーカーに対する、北京20代と北京40代、上海20代と上海40代からの評価結果偏差値をまとめた。赤字部分で示したように、比較的に寛容である40代からの評価に比べて、20代からの評価が厳しかった。

表1 ブランド・チャイナ2011 年代別スコア
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