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「再臨界の可能性はゼロではない」
「『再臨界の可能性はゼロではない』と言ったのは、事実上ゼロだという意味」

とはいったいどういう意味でしょうか?

 原子力安全委員会の班目春樹委員長はご本人なりに一生懸命に説明されているのでしょう。私も同じ理系の研究者として量子力学などを使って研究していると「あらゆるものの確率は完全にゼロはない」ということが頭に刷り込まれており、このような表現になってしまうのも少しわかるような気がします。正確に伝えようとするあまり、かえってわかりにくくなってしまい、相手に理解してもらえない。もっとも、「絶対に安全」と言ったらそれはそれでうさんくさいので、技術のコミュニケーションは本当に難しい。

 結果としては、仰っていることが政府、社会一般の人々に伝わっているとは言い難く、口の悪い国民新党の亀井静香代表に「デタラメ委員長」とまで言われるありさまです。内閣でも原発や放射能の説明に対して高い評価を受けているのは、理系(東工大)出身の菅直人首相よりは文系(弁護士)出身の枝野幸男官房長官。

 このように、科学技術を開発したり理解したりすることと、技術を伝えることは全く別物です。技術のコミュニケーションの難しさに関しては、似たような経験をされているエンジニアはたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。エンジニアの間で通じる技術に関するコミュニケーションが、たとえ同じ会社の中でも営業や総務の人にはなかなか伝わらない。理系と文系の間の壁と言えるかもしれません。

「本社の命令を無視して、原発へ海水注入を継続」
「サングラス姿でテレビ会議」
「本社からの指示に、『やってられんわ!そんな危険なこと!』」

 東京電力の福島第一原子力発電所の事故現場で陣頭指揮を取る吉田昌郎氏は、本社からの指示に反して原発への海水注入を継続したことからもわかるように、エンジニアとしてのしっかりした技術的背景を基に決断する、そして、技術に関する自分の意志を上手に表現し、組織を束ねる。吉田氏のコミュニケーション能力やリーダーシップは、原発の現場の作業員のみならず、多くの人々の共感を呼んでいます。