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 私は、以前のコラム「ソニーは“PSP Phone”、シャープは“Zaurus Phone”を出さないか?」で事業力についての考え方をこう書いています。

「事業力」は、「ビジネスを生み出す仕掛け」と「コツコツ型の要素群」との掛け算だと思っている。仕掛けとはお金が回るところでビジネスモデルと言い換えてよい。これに対してコツコツ型の要素群とは、「技術」「信用」「実績」「商品」「コンテンツ」「ブランド」といった、コツコツと積み重ねていくことで生まれるもののことである。

 これを式で書くとこうなります。

「事業力」=「ビジネスを生み出す仕掛け」×「コツコツ型の要素群」

 これは単純なかけ算の式ですが、私はこれがビジネスの基本だと思っています。ここではこれを「事業力の法則」と呼ぶことにします。

 B2Bのビジネスモデルで消費財メーカーに部品を納入する企業が、いくらコツコツと技術力を高めても、消費財市場に直接は参入できません。よくオリジナル製品が欲しいといっている下請け部品メーカーがありますが、一般消費者に対する「ビジネスを生み出す仕掛け」がゼロだと、一般消費者に対する「事業力」がゼロになるのは明らかでしょう。

 さてこの事業力の法則を用いて事業を生み出すには、実はもうひとひねり工夫が必要です。事業力を現実のものとするためには、超えないといけない「5つのカベ」が存在すると考えています。その5つのカベとは、「コツコツ力のカベ」、「マッチングのカベ」、「認知のカベ」、「認識のカベ」、「アイデアのカベ」です。

 このカベについて考え、新しいビジネスを生み出すにはどのように行動すればよいのかを考えていきましょう。

コツコツ力のカベ

 コツコツ力とはその企業が持っているリソースといい換えてもよいでしょう。わかりやすい例として技術力を取り上げましょう。メーカーが世の中に製品を売る場合、一定の技術力が必要なのは明らかであり、この技術力のカベを乗り越えない限りそれは不可能です。

 B2Bで部品や素材、設備を生産してきた企業にとっては、技術力が大きな意味を持ちます。他にない、誰もが欲しがるオンリーワンの技術力があり、その技術的優位性を維持できれば、それだけでその企業は存在し続けるでしょう。

 しかし、世の中にオンリーワンの技術はそう存在するものではありませんし、待っていれば引き合いがどんどんやってくるというのは理想ですが稀であり、それに期待するというのは危険な戦略です。つまり技術力至上主義は一般レベルの企業にとってはある意味危険なのです。

 このカベはメーカーにとって必要条件ですが、必要十分条件には滅多になりえません。よく「よいものは売れる」という信念を語る人を見かけます。マスコミ関係の方に「もうそんな人は存在しませんよ」といわれたことがありますが、現実には非常に多いと感じています。中小企業ではいうまでもなく、大企業のエンジニアからもそんな声がいまだに聞こえてくるからです。