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 一方、Compal Communications社は従来型携帯電話からスマートフォンへシフトする過程で苦しい戦いを強いられている。2010年の出荷量391万台のうちスマートフォンが約7~8割を占めたが、総体的な出荷規模は縮小。10年通年の営業収益は前年比4割強の大幅減だった。不振は今年に入ってからも続き、11年7月の営業収益は単月で上場以来の最低に落ち込んだ。こうした状況を受け同社は6月、11年通年の携帯電話出荷量を当初目標の600万台から450万台に下方修正している。

 台湾メディアによると、Compal Communications社は、Motorola Mobility社から受注したデュアルコア搭載スマートフォンを11年第3四半期中にも出荷する見込みだ。ただ、単月の出荷規模は、同社を黒字に導くほどのものではないとの見方が支配的。Nokia社から受注した米Microsoft社のOS「Windows Phone 7」を搭載したスマートフォン2機種の出荷を始める11年第4四半期になってようやく、先行きに光明が射すものと見られている。

 3社の中で健闘ぶりが目立つのは、Arima Communications社だ。スマートフォンが台頭する中、同社も2010年上半期には業績が低迷。出荷量は単月100万台に届かず、3億6500万NTドル(1NTドル=約2.6円)の損失を計上した。しかし、スマートフォンへのシフトを図るCompal Communications社が従来型携帯電話の受託生産を放棄したことから、Arima Communications社は韓国LG Electronics社、Sony Ericcson社、Motorola社の生産委託を独占することになって息を吹き返し、10年通年では黒字に転換した。

 2011年上半期も好調が続き、営業収益は前年同期比でほぼ倍増と大幅な成長を記録したが、それを後押ししたのがMotorola Mobility社からの受注。市場では、Motorola Mobility向けが今年、最大1000万台をうかがう勢いにあり、Sony Ericsson向けを大きく逆転することになるとの見方を示している。

 ただ、このArima Communications社にしても、Motorola Mobility社からの受注の主力はスマートフォンではなく、従来型機種になりそうだ。

タイトル
上海有数の繁華街・中山公園のショッピングモール外壁にあったMotorolaの戸外広告。ちなみに上にあるのは中国でも急速に拡大している共同購入サイトの広告。3倍のサイズ差が現状の勢いを物語っている

 中国天津市の日刊紙『天津日報』(8月17日付)が伝えたMotorola Mobility社の中国天津工場関係者は、「買収後も、天津工場の位置付けに大きな変化はない」と強調。その上で、同社のスマートフォンの90%は天津工場で生産しており、タブレットPC「XOOM」と次世代移動通信(4G)の携帯電話もすべて同工場から世界に供給しているとしている。さらに、「世界電気通信の日」の今年5月17日に合わせて公開された天津工場を取材した中国紙『北京商報』が、2010年にMotorola社が発売した24モデルのAndroidスマートフォンは、いずれも天津工場で自社生産したものだと報じている。

 台湾の市場関係者は、「Motorola Mobility社が2012年に注力するのはAndroidのハイエンドスマートフォンだが、台湾メーカーに対してどの程度の発注を割くかについては、現時点でまったくの未知数だ」としている。

 FOXCONNの寡占でiPhoneの受注がほぼ望めない状況の中、台湾の携帯電話ODMメーカーにとって、Androidスマートフォンの受注は是が非でも増やして行きたい。ただ、Android勢で市場シェア上位を占める台湾HTC社、韓国Samsung Electronics社とも、今のところスマートフォンは自社生産。Google社が買収したことにより、Motorola Mobility社がAndroidスマートフォンの生産を拡大するのは間違いないだろうが、外部への生産委託を増やす兆候は現時点ではどこにも見当たらない。

 1兆円の華々しい買収劇を、スマートフォンの受注を思うように伸ばせないでいる台湾のODM各社は「Motorola、お前も結局自社生産か」と冷めた目で見ていたのかもしれない。