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化石燃料は、割合が減っても絶対量は増える

 原子力発電は、予算や土地の確保、建設期間などを含めて考えると、本稼働するまでに非常に長い期間を要する。そのため、現時点の状況や計画をつぶさに見ていけば、およそ15年先までは未来を予測することができる。筆者は2025年の原子力発電を2010年比で約3倍と予測していたが、東日本大震災の影響を受け、せいぜい2倍程度にとどまるだろうと予測し直した。

 しかし、原子力発電の開発にブレーキが掛かったからといって、将来のエネルギー需要が大幅に少なくなることはありえない。原子力発電が今の2倍に増えたとしても、全世界のエネルギー需要を満たすには全然足りないのである。残る現実的な選択肢は、石油や石炭、それと天然ガスだろう。

 図2を見ると、石炭の割合が意外に多いことが分かる。石炭は埋蔵量が豊富で価格も安定しているからである。新興国を中心に、主に火力発電用の燃料として今後も使われていくだろう。石炭の構成比率は2025年には相対的に減少するものの、絶対量では約1.5倍まで増えると予測している。

 石油についても、石炭と同様に構成比率は徐々に減少するものの、絶対量ではむしろ拡大することが見込まれる。エネルギー向けでは約1.5倍、プラスチックや化学繊維など工業原料としての需要を含めれば2~3倍に拡大するだろう。

天然ガスに世界が注目

 天然ガスについては、再生可能エネルギーではないが埋蔵量が豊富で持続性が高い。これまで石油系天然ガス(LNG)が主に使われてきたが、近年は通常の油田やガス田以外から生産される非在来系天然ガス、なかでも「シェールガス」が最近大きな注目を集めている。北米を中心に巨大なガス田が相次いで発見されていることに加え、近年の技術革新によって低コストでの採掘が可能になったからである。具体的には、エネルギー換算で原油1バレル相当が約33米ドルと、原油価格の半分以下のコストで掘ることができる。

 こうしたことから、2009年には米国がロシアを抜いて世界最大の天然ガス生産国になった。米国内ではシェールガスの大増産により、天然ガスの自給体制が整いつつあり、ロシアなどでは輸出用の天然ガスが余りはじめてきた。シェールガスは北米の天然ガス需要予測を大きく変えるだけでなく、世界全体のエネルギー需要予測にも大きな影響を与えるだろう。

 この天然ガスはクリーンエネルギーとされている。けれどもそれは、石炭や石油と比較してのことであって、CO2やNOxを排出することには変わりない。つまりシェールガスの積極的な使用は、地球温暖化問題の解決には貢献しないのである。それでも天然ガスの採掘と利用に熱心な米国の様子から、エネルギーを安定確保することが最優先で、地球温暖化対策は二の次という本音が見て取れる。