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 2011年8月は、電子産業の歴史に残る1カ月として語り継がれる月になるかもしれない。

 まず当コラムでも前回取り上げたが、8月15日には米Google社が携帯電話大手の米Motorola Mobility社を125億米ドルで買収すると発表。その衝撃も冷めやらぬ3日後の18日、今度はPCシェア世界最大手の米Hewlett-Packard(HP)社がPC部門の分離計画を表明した。きわめつけは8月24日、スマートフォンiPhoneやタブレット端末iPadで世界を席巻し、時価総額で米国最大の企業に躍り出たばかりの米Apple社が、カリスマ経営者、Steve Jobs氏の最高経営責任者(CEO)辞任を明らかにしたのだ。

 電子産業の歴史年表にいずれも太字で書き込まれてもおかしくないほどの超弩級の事態がわずか10日余りの間に立て続けに起こったわけで、「ポストPC」「ポストJobs」の時代に向かう大きな転換の時期にさしかかっていることを印象付けた。

 このうちHPについて台湾や中国の市場や業界、さらにマスコミはHPの発表当初、同社が分離を検討するとしたPC部門のPersonal Systems Group(PSG)を売却するとの見方でほぼ一致。その上で昨年来、HPのPC事業を買収するとのうわさが浮かんでは消えていた韓国Samsung Electronics社や、2011年第2四半期にPC世界シェアで台湾Acer社を抜き世界3位に躍り出た中国Lenovo社が売却先の候補として挙がった。

上海浦東新区の繁華街にあったHPのノートPCの広告。

 ところが衝撃の発表から10日が経過した8月末になってHPは、事業の取りやめを決めたタブレットPC「TouchPad」について、値引き販売が奏功して品薄になったとして、小売り大手の米BestBuy社の求めに従い小量のみ再度生産すると表明。さらにHPのエグゼクティブ・バイス・プレジデントで、PSGのトップを務めるTodd Bradley氏が中国のネットメディア『Sina.com』のインタビューに応じ、「PSGを分離して独立した法人を作った上で、私が引き続き統括する」「当社のPC事業を買収できる実力を備えた企業など存在しない」などとコメントした。

 こうした動きに中国や台湾のメディアは連日、「売却が惜しくなったか?」「放棄の表明が早すぎたと後悔したか?」と皮肉交じりに報道。いずれにしてもこの先、二転どころか三転も四転もありうるのではないかと思わせる雲行きになっている。

 ところで、HPのPC事業分離の知らせは、生産を手がける台湾系のEMS/ODM業者や部品メーカーにも当然、大きな衝撃をもって迎えられた。