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 台湾や中国のメディアの報道を総合すると、HPのノートPC生産は、受託生産で業界最大手の台湾Quanta Computer社、台湾Inventec社、そしてEMS世界最大手の台湾Foxconn(フォックスコン=鴻海)社の3社で2011年が全体の85~90%、12年は90~95%を独占している。また、HPのBradley氏をインタビューした先のSina.comは、HPのPC年産4000万台のうち、Quantaが2000万台、Foxconnが800万台、Inventecが700万台を生産していると伝えている。

 こうしたなか台湾では、HPの台湾系メーカーに対する発注計画は12~18カ月先まで固まっていることから、当面の影響は軽微だとしながらも、長期的には不透明さが増したとの認識で一致。さらに、SamsungによるHPのPC部門買収が、台湾にとっては最悪のシナリオになるとの見方が大勢を占めている。SamsungがPC本体を自社生産しているほか原材料や部品の調達についても垂直統合の度合いが極めて高いため、台湾系のEMS/ODM業者や部品メーカーの出る幕が無くなるのではないかとの危惧があるためだ。

 一部報道によるとSamsungは8月上旬、QuantaとノートPC受託生産で世界2位の台湾Compal Electronics社、CDMA版iPhone 4の受託生産を手がける台湾Pegatron社を相次いで韓国の本社に招き、PCの生産委託について話し合いを持ったとされる。一方で台湾当局は、Samsungの買収を阻止するため以前からAcer、ASUSTeK社の台湾系2社に対し、HPの買収を何度となく働き掛けているとも言われる。ただ現時点で、真相はいずれも薮の中だ。

 ところで、HPがPC事業の分離を決断した理由については、タブレットPCやスマートフォンなど新型デバイスの登場で、従来型のノートPCの先行きに見切りをつけたためとする見方や、PC端末の利益の薄さに嫌気がさしたためとする分析が大勢を占めている。

 ただ、HPの仕事の利益の低さにウンザリしていたのは、同社のPCを受託生産するEMS/ODMメーカーも同じだったようだ。

 当社のウェブサイト閲覧には会員登録が必要2週間無料で読める試用会員も用意)でも、「コンパル、HPのノートPC見積り依頼を断る 利益薄さに嫌気」と題して伝えたが、今年5月末、HPから打診された2012年分のノートPC見積り作成依頼(RFQ)を、Compalが「利益があまりに低すぎるので興味がない」と拒否したとの情報が、台湾の市場や業界を駆け巡った。Compalは2011年にはHPのPCを3%程度受注したものの、12年はゼロだと見込まれている。

 台湾の業界筋によると、CompalやQuantaなどのODMメーカーは、FoxconnやシンガポールFlextronics社などEMSメーカーの参入で利益が下がり過ぎたノートPC生産に危機感を覚え、ノートPC出荷量を競う争いから降りて、クラウドやポータブルデバイス、タブレットPCなど、粗利益の高い発注の獲得へと重点をシフトする姿勢を次第に鮮明にしつつある。