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 ノートPCの受託生産業界の利益を伝える台湾メディアの記事には、2008年ごろまで「保5」「保6」という語句がよく見られた。売上総利益率5~6%台を確保する、という意味だ。ところが2010年になると「保4的攻防戦」、すなわち4%台の死守を巡ってメーカーが苦悶する様子が伝えられるようになった。

 今年5月にノートPC受託生産からの撤退を表明したFlextronicsのCEO、Mike McNamara氏は、売上総利益率が直近では1.5%にまで下がったと話している。同社は今年、HPのノートPCのうち5%程度の生産を受注していたものと見られている。

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上海浦東の金融街・陸家嘴にあるApple Storeの入り口。地下に広大な売り場が広がっている。円筒形のガラスの後ろに見えるのは、高さ468メートルを誇る上海のシンボル東方明珠タワー

 一方で、Jobs氏のCEO退任を表明したAppleについても、EMS/ODMなど下請け業者に対して厳しくコスト削減を求める様子を伝える情報が、台湾、中国では断続的に流れる。

 最近では8月上旬、当社も「『アップルの作業時には電灯1本消せ』 厳しいコスト要求にEMSが専用マニュアル」と題して伝えたが、製品自体のコスト削減が限界に達しているため、作業台の照明を減らすなどの工夫でAppleのコスト要求に応えているEMSの話が中国メディアで広まった。

 そのうちの一つ、中国の経済紙『毎日経済新聞』(8月10日付)は、Appleの電源装置の生産を手がけるFlextronics中国広東工場のケースを紹介している。同工場に所属するある中間管理職は、「一般的にアップルは、試作から量産に入った段階で値下げを求めてくる傾向がある」と指摘。その上で、「原材料の調達では既にコストを削る余地がないため、1本の生産ラインに本来40人の作業員が必要だとしても、これを33人程度にまで減らすこと」「通常なら1つの作業台で2本使用している照明のうち、アップルの仕事をする際には1本を消すこと」などと定めたApple専用のコスト削減マニュアルが存在するとしている。

 こうしてみると、話題の主役がHPであれAppleであれ、脇役のEMS/ODMから聞こえてくるのは「安い」「低い」「消せ」「削れ」「嫌気」などネガティブな言葉がほとんどであることに気付く。HPやJobs氏からバトンを受け取る次代の主役は、EMS/ODMの口からポジティブな言葉を引き出すことができるのだろうか。