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「決選投票の軸は、親小沢か、反小沢か」
「鹿野道彦氏陣営が決選投票で野田佳彦氏を支持したのは、小沢グループの強引な引き剥がし工作への感情的な反発」
「野田佳彦氏が票を集めたのは、前原誠司氏や仙谷由人氏、小沢一郎氏双方への反発から」
「小沢一郎氏の西岡武夫参院議長擁立を輿石東参院会長が反対したのは男の嫉妬か」
「野田佳彦氏が怨念を超えた政治を目指すことを表明」

 まるで平日の昼のテレビドラマを見ているかのよう。8月29日に行われた民主党の代表選挙では、政治家たちの愛憎劇が展開されました。

「鹿野氏が上着を脱いだら2位に投票するサイン」

 というあたりは、もうスパイ小説並に劇的です。政策論争そっちのけで、「あいつだけは許せない」「敵の敵は味方」のような「好き」「嫌い」のレベルで権力闘争が行われている。選挙では「食うか食われるか」が日常の超肉食系の政治家ですから、感情の量も膨大。感情的な対立になると、闘争本能もすさまじいのでしょう。

 選挙では、最初の投票では2位だった野田氏が、決選投票では2~4位連合を形成して、逆転勝利をおさめました。選挙の主役は、いかにも肉食系らしくギラギラして個性的な小沢氏や、前原・仙谷コンビ。

 それに比べて、「ドジョウさん」のニックネーム通り、野田氏は憎めないキャラクターで、敵が比較的少なそう。野田氏の勝利は、超個性派同士が戦っている間隙を突いた、漁夫の利だったと、言えるかもしれません。

 日本の首相がこんな昼ドラ並の感情的な対立で決まるのも困ったものです。ただ、どんな社会や組織でも感情のもつれや嫉妬で重要な物事が決まってしまうことは良くあること。エンジニアも例外ではありません。

 例えば製品で採用する技術方式を決める際には、各技術の優劣を性能・電力・コストといった数字でベンチマークをします。でも実際の判断では、客観的なデータを参考にしつつも、「あいつの提案している技術は採用したくない」といった、人の好き・嫌いの感情に左右されてしまうことも多いでしょう。

 このように、政治だけでなく技術の研究開発の現場であっても、多くの人と一緒に仕事をしている以上、自分の能力を生かすためには、周囲の人々の感情のマネージメントが重要なのです。

 一見、客観的に見える技術のベンチマークにしても、狙っている市場や製品の仕様など、ベンチマークの境界条件の設定次第で、結果はいかようにも変わります。実際のところは、自分が採用したい技術のベンチマークの結果が良く見えるように、元々の基準を変えてしまうこともあるでしょう。